ヒデキ

827 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/22(月) 19:43:11.24 ID:TEN/rORq0
友人達の話。 

幼少の頃、彼らは山中にある石切場跡を遊び場にしていたという。 
「鬼ごっこや陣取り、氷鬼、他何でもやったけど、缶蹴りだけは出来なかったな。ヒデキがいたから」 
誰が名付けたのかはわからないが、その石切場にはヒデキと呼ばれる目に見えない悪戯者がいたらしい。 
小石を蹴り飛ばそうとすると、まるで大きな岩を蹴ったような衝撃が返ってきて、蹴った子が逆にひっくり返る……
そんなことが多々あったのだそうだ。 
痛む脚を庇いながら再び石に触れると、今度は問題なく蹴り飛ばせたという。 
“これはヒデキが石をしっかりと押さえていたから、力負けして転倒したのだ” 
ほとんどの子供たちがそのように認識していたという。 
「だから缶蹴りが出来なかったんだ。 
 空き缶を蹴飛ばしても、ヒデキのせいでまず飛ばないんだもの。 
 下手すりゃこっちが力負けして転けるし」 
そこは今でも子供たちの遊び場となっているそうだ。 
ヒデキがまだいるのかは不明である。 

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