真っ赤な葉書

827 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/02/24(火) 10:52:56 ID:ZdST33C40
俺は子供んとき結構な田舎に住んでたんだが、 
そこに毎年、夏休みだけ遊びに来るヤツがいた。 
東京に住んでて、夏休みだけ長期でじいちゃんの家に預けられてたらしい。 
田舎で子供もあんまりいなかったから、 
俺とそいつ(H)と、もう一人同年代だったSちゃんって女の子と、 
3人でよく海で泳いだり、チャリで遠くまで行ったりして遊んでた。 

あの頃、昼間みのもんたの番組で、 
本当にあった怖い話って特集やってたの、覚えてる? 
おも●っきりテレビの特番で、夏休みだけやってたんだ。 
アレ見て何となく、俺らも肝試ししよーぜって話になって、 
俺が「今から神社に葉書を一枚置いてきて、夜中にみんなで取ってこよーぜ!」 
みたいなことを言って、みんなで葉書を置きに行った。 

その日、確か地域の集会みたいのがあって、 
大人はみんなそれに行って夜中までいなくて、 
家から出ようと思えば出られる感じだった。 
それで夜中にみんなでこっそり家を出てきて、置いた葉書を取りに神社へ行った。 

Hは怖がっているのが見え見えで、 
俺は実はSちゃんのことが好きだったから、 
怖がらないでいいとこ見せようなんて張り切って、 
ずんずん神社の中へ入ってった。 
神社の賽銭箱の上においといた葉書は、まだそこにあって、 
俺がそれを持ち上げたら・・・・・・ 
葉書が真っ赤に塗りつぶされてたんだ。 

俺らは悲鳴を上げて神社の外まで猛ダッシュした。 
とにかく怖くて、早く家に帰りたかった。 
境内まで走り出て振り返ったら、 
Sちゃんが付いてきていなかった。 
Sちゃんはまだ賽銭箱の前にいて、 
変な風に体を折り曲げて、うずくまるようにしてた。 

俺とHはでかい声でSちゃんのことを呼んだんだが、 
Sちゃんは全然気がつかなくて、 
そうしてるうちにHがSちゃんのとこへ走ってった。 
俺は情けないことに、怖くて足がすくんでた。 

HがSちゃんを助け起こそうとしてたんだが、 
Sちゃんは全然動かず、Hが俺の方を向いて「何やってんだよ!」 
みたいなことを言って、俺も慌てて走っていった。 
Sちゃんは半分白目を剥いて、うげえええええとか言ってて、 
俺は怖くなって、二人を置いて大人達を呼びに行った。 

親たちが集会後の飲み会をいつもしてる飲み屋に行って、 
泣きながらしどろもどろに説明して、 
親父からは2発ぐらいゲンコツで殴られて、神社に連れて行かれた。 
それで、親父たちと一緒に神社に戻ったら、 
まだ二人はそこにいた。 
でも、俺そこで変な物見ちゃったんだよ・・・。 

HがSちゃんの両腕を掴んでゆすってて、 
Hの背中には細い白い腕みたいのがぐるっと巻き付いてた。 
最初、それはSちゃんの腕だと思ってたんだけど、 
もう少し近寄ったら、Sちゃんの腕はだらんと地面についてたんだ。 
だから、もう一組、誰かの腕がHの背中に回されてた。 
それは、親父が二人の名前を呼んだら、ふーっと消えたんだ。 
消えたっていうか、Sちゃんの中に入ってったように見えた。 

Sちゃんはもともと体が弱かったんだけど、 
その後、学校に来なくなった。 
中学ぐらいになってから、「気が触れて精神病院に入院してる」とか、 
「あこんちの子はキツネが憑いた」とか、ウワサになってた。 
でも、田舎ってそういうところ閉鎖的で、 
実際のところ何が起きてたのかは、実はよく知らないままだった。 

Hの方はそれ以来こっちの田舎に来ることがなくなったんだけど、 
ちょっと事情があって連絡を取り合うようになって、 
いつごろくらいだったか、Hが「Sちゃんから葉書が来た」と言ってきた。 
真っ赤に塗りつぶした葉書に、教えてもいないのに住所が書いてあって、 
毎年毎年送られてくるようになったみたいだった。 
Hはちょっとおかしくなったんじゃないかと思うくらい、 
電話をかけてきてはあの日のことを詳しく話したりしてた。 

その後しばらくして、Hが「おはらいにいく」と言ってきた。 
これまで届いた葉書を全部持って、それに憑いてる念(?)を落としたら、 
もう葉書は届かなくなるとか言っていた。 
「オマエ、これまでの葉書全部もってんのか?」と聞いたら、 
捨てるのも気持ち悪くて一つ残らず取ってあると言ってた。 

電話の様子がおかしかったから、一緒に行くか?と聞いてみたけど、 
Hは「いや、他の人と行くから・・・」と言われたので、それ以上言わなかった。 

おはらいの後、Hから電話がかかってきて、 
「これでもう大丈夫だ!」とかやたらハイになってたんだが、 
結局しばらくたって、またHから「葉書が来た」と電話があった。 
Hは取り乱して、「おはらいもしたのになんでなんだよう!」とか、 
「なんで俺ばっかり」とか電話口で泣きわめいてた。 

様子が変なのは十分分かったけど、俺も仕事だったんで、 
「また後で電話する」つって、電話を切ってしまった。 
でも、それ以降、Hとは連絡が取れなくなった。 
携帯もずーっと電源が切られているし、会社にも行っていないようだった。 

Hがそのころ付き合っていた彼女の連絡先を知ってたから、電話してみたら、 
「ちょっと前に別れた。だってあの人、変だったじゃん。 
どうせ、あの葉書の子にでも呪い殺されたんじゃないの?」 
なんて言って笑ってた。 
俺はなんだかその子のことが怖くなって、電話番号も消して、係わりを経った。 

興味本位で肝試しなんか、しかも神社でするもんじゃねーなというか、 
そんな話。終わり。 

併せて読むとオススメです→友達からの葉書

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