旧公園の女の子

1706 :名無しさん:2012/09/30(日) 19:25:13 ID:LjcEP/ZU0

俺の学校の帰り道には公園が2つある
1つは新しい遊具(アヒルとかリスの乗り物とか)が毎年設置されている人気の公園
もう一つは、人が全く遊ばず、滑り台とブランコしかない小さな公園。(よくカップルがセックルとかをしている)

つい先週、部活が終わり、帰る途中に足が痛くなったため、公園のベンチで休もうと思った。
一番近いのはブランコと滑り台しかない旧公園だった。
公園が見えてくるところまで来ると、珍しく小さな女の子が滑り台で遊んでいた。
やっとの思いで公園のベンチに腰掛け、携帯を開く。
ちょうど夕暮れどき。
携帯でモ●ゲーをしていると、人の気配がしなくなり、一度画面から目を離し、周りを確認するとさっきまで遊んでいた女の子がいなくなっていた・・・

ひとりで公園(しかも旧公園)にいるのもアレだから、さっさと帰ろうと思い、鞄を背負う。
家に帰る途中に、ふと思った。
旧公園から人気のある公園までは、歩いて5分くらいしかかからない、なのになぜあの女の子は旧公園で遊んでいたのだろうか?
思い入れでもあるのだろうか、などと考えているうちに家に到着。

俺:ただいまー
姉:おかえり、顔色悪いよ?
俺:ちょっと部活で足を痛めただけだよ
姉:そっかーあまり無理しちゃだめだよ?
俺:Da Da (ロシア語)

晩飯を食べて、風呂に入り、明日の用意をして寝床についた。
あの女の子のことが頭から離れないが、考えても無駄だろうとおもい、眠りについた。

~翌日~
何の変哲もない一日だった。
帰り道以外は・・・

帰り道、携帯でモバ●ーをしながら歩いていると、人の気配がした。
左を見ると旧公園があり、前日の女の子がいた。
今度は明るいため、女の子の外見がハッキリとわかった。
小学2~3年生、髪はおかっぱ(ワ●メちゃんっぽいやつ)

今時の子供って感じがしなかった 何よりも親がいないのが不思議に思えた。
もしかしたら何かあったのかと思い、声をかけてみることにした(ロリ●ンじゃねーぞ)

俺:やぁ
女の子:・・・
俺:お母さんは?お父さんは?
女の子:あっち・・・

女の子が指差す方向には、大きな木。

俺:(まじかよ・・・・)
女の子:お父さんもお母さんも、他の人も、みんな あっちにいるの
俺:そ、そうか・・・

ここで完全にビビってしまった俺は、逃げるようにその場を離れて足早に家へと帰った。
逃げる途中 女の子ではない「何か」の視線を感じたが・・・

家に飛び込むように帰ったら、姉が目を大きく開いて
姉:どうしたの!?
俺:あ・・・いや・・・
ここで 女の子にビビって帰ってきた なんて言えるわけがなく、
俺:犬に追いかけられた・・・
姉:ぷっwwwwwww

などとくだらない言い訳をした。
そしていつも通り晩飯を食べ、風呂に入り、寝床についた。 

本当に恐ろしいのはこの日だった。

学校で昨日の出来事を友人に話した。

俺:・・・てわけ
友人:お前チキンだなwwwwww
俺:うるせぇよ・・・お前だって逃げるだろ?
友人:まぁな! ところで、それは何時くらいだ?
俺:あ? ・・・・ ちょうど夕暮れどき・・・か?
友人:夕暮れか 逢魔ヶ刻って知ってるか?
俺:なんだって?
友人:だから逢魔ヶ刻だよ。・・・
友人:まさに魔物に遭遇しそうな時だ。しかし、この魔物はまだ本領を発揮していない。薄暗闇ではまだ早すぎる。ただ、何気なく俺たちの世界をうっすらと彷徨い、佇んでいるだけ。「逢魔ヶ刻」ってーのは、そんな魔物に逢う時刻だよ。
俺:・・・魔物ねぇ・・・
友人:その女の子が魔物なんじゃねーの?
俺:やめろよ 洒落にならねぇよ
友人:・・・ でも木だろ?その木って幽霊とかいるのかもな
俺:は?
友人:もしだよ? もし その女の子が亡くなっていて、自分がそれに気づいてなくて、その木?に取り付いてる何かがその女の子を招いてる・・・みたいな?
俺:・・・俺帰る じゃあな
友人:おーい!なんだよ・・・・ 冗談だってーの!

俺の学校の帰り道には公園が2つある
1つは新しい遊具(アヒルとかリスの乗り物とか)が毎年設置されている人気の公園
もう一つは、人が全く遊ばず、遊具が滑り台とブランコしかなく小さな公園。
いつからかその公園には、幽霊公園だの、お化け公園だとか子供がそう呼ぶようになった。

俺は幽霊なんか信じてないわけじゃない。霊感があるわけでもない。
じゃあ あの日、あの場所で起きた出来事は一体何なのか? 

友人と別れたあと、俺は旧公園へ向かって急いでいた。

今日こそあの女の子に聞いてやる。

そして旧公園に着いた時、いつもとは違う 何かを感じた。
夜中、一人でトンネルを通るみたいな そんな感じ。

女の子は滑り台で遊んでおらず、木の前に座り込んでいた

俺は無意識に近づき、声をかけた

俺:どうしたの?
女の子:・・・
俺:・・・君は生きてるの?
女の子:・・・・
俺:・・・・(話しても無駄だろうな)
女の子:お父さんとお母さん、私のこと怒ってる 一人でいちゃ危ないって怒ってる。知らない人と話しちゃダメって怒ってる。
女の子:お父さんとお母さん、あなたのこと怒ってる 娘に近づくな 話しかけるな 殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロス・・・

女の子の言葉は、耳からではなく 直接脳に響き渡ってるように思えた。

俺は逃げ出した。
その間も、頭の中に「殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロス・・・」
女の子の声、両親の声、そして男女の声・・・全てが入り混じったような声。
薄れていく意識・・・ 家までは走っても10分もしない・・・もう少しで・・・

                   「コロス」

気がつくと俺は家の中にいた。
体中が痛む。
姉が横で泣いていた。
俺は 姉にどうしたの?と聞いた
~ここからは姉貴目線~

弟(俺)の帰りが遅いから、学校に連絡を入れようとすると、電話がかかってくる。
弟と思い、電話に出ると「殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロス・・・」
だがその声は、受話器からではなく、玄関から聞こえてきた。
恐る恐る玄関を開けると・・・

狂ったように笑いながら、自分の腕 足 お腹にボールペンを突き刺していた。
姉は戸惑ったが、俺を家の中に入れ、ボールペンを取り上げ、必死にビンタをしていたらしい。
俺が大人しくなった途端、俺ではない誰かの声で「呪ッテヤル」

今では俺は普通に過ごしている。
だが俺の住んでる家に姉はいない。

姉は3日前、急に精神が不安定になり、精神科で診てもらっている。

だが姉には会わせてもらえない。
いや、俺には会う勇気がない。
なぜなら 姉がいる部屋の前に立つと「殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロス・・・」
そう聞こえてくるのだから

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