譲り受けた店舗

370 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/06/26 02:13 ID:qZKYUZDl
叔母と義叔父(夫婦)の実話です。 
二人は現在、寿司屋をやってます(もうかれこれ15年)。 
店舗は、義叔父が修行時代にお世話になった業界仲間の老板前さんから格安で譲り受けた店舗でした。 
老板前は高齢で引退⇒自分の息子が跡を継がないというので、真面目な若い板前に店を安く譲ろうと考え、 
私の義叔父を選んでくれたわけです。 
ところが、義叔父に店を譲った直後、安心なさったのか? 老板前は病気であっけなく他界しました。 
義叔父と叔母が知り合い結婚したのはその1年後です。 

・・・さて、それからというもの、先代老板前の名に恥じぬ店にしようと、義叔父・叔母は必死で働いてました。 
そんなある日でした。 
ランチが終わり、ちょっと休憩、と、二人が厨房で休んでいた時、まず叔父がトイレへ・・・ 
叔母は、残っていた洗物を済ませようとひとり流しに立ったそうですが、そこへ、裏口から厨房を覗き込む男性の姿が。 
「あら~すいませんね、今日はもうランチ終わったんですよ。夜は6時からですんで」 
叔母がそうお断りすると、男性はフーンといった様子で厨房を眺めわたしてから出て行ったそうです。 
トイレから戻った義叔父にそれを告げ、義叔父も、 
「へえ、誰だろ、常連じゃないよね?」 
叔母も、そういえば常連でない見知らぬ男性だったなと小首を傾げ、ややあって、今しがた見た男性の風貌を、 
何となく義叔父に話しました。叔父が真っ青になったのはその瞬間です。 
義叔父は、無言で二階に駆け上がり、一枚の写真を手に戻ってきました。 
「これ? もしかして今厨房を覗いてた男性ってこのひと?」 
叔母は、写真に写ったその人を見るなりうなづき、やがて叔父と同じく(やっとその正体を分かったのです)青ざめたそうです。 
その写真は、店を譲ってくれた亡・老板前さんのものでした。 

今では、叔母も義叔父も、「若い二人が店をちゃんと経営しているか、心配になってのぞきにやって来たんだと思う」と言ってます。 

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