ワンルームに独り暮らし

173 :166:04/06/13 21:39 ID:cVDmx9eq
オカルトじゃないがほんのりなお話。 

それほど昔じゃない、大学2年か3年の頃のお話。 
当時、漏れは田舎から東京に進学してワンルームに独り暮らししてますた。 
そのマンションは分譲賃貸とゆーんですかね? 
各部屋をそれぞれ違うオーナー(=家主、大家さん)が買って、それを賃貸する形式。 
もちろん自分で住んでも良い。 
管理もオーナー毎に違うようで、漏れの部屋はある管理会社を通して借りてた。 

春、サークルの合宿中に管理会社から携帯(当時はPHSだった)に突然電話がきた。 
その内容は、オーナーの要望を伝えるものだった。要約すると以下の通り。 

オーナーの親戚が東京の学校に通うことになった。 
ついてはその子に今(漏れが)住んでる部屋を貸したい。 
取り急ぎ、部屋を空け渡していただきたい。 
(GW頃の連絡で5月中に空けろとかいうすげー急な話だった) 
急で勝手な言い分なので金銭負担はオーナー持ち。 
新居への入居費用(敷金礼金)と引っ越し費用は全てオーナーが負担する。 

完全無料で引っ越しという妙に良い条件に警戒しつつ引っ越しを決めた。 
早速、管理会社に頼んで近くの物件を物色。良さげな部屋を見つけた。 
念のため、オーナーに確認が取れるまでは新居は仮押さえという事にした。 

さて漏れは毎日サークル活動でほとんど部屋にはいなかった。 
深夜に帰宅すると、集合ポストに何やら張り紙がしてあった。 
どうも誰かが毎日のように僕の帰宅を待っていたらしい。 
ガムテープでべったり貼ってたりする。はっきり言ってかなり迷惑。 

当方、全く心当たりが無いのだが、こんな事まで書いてあった。 
「あなたが部屋にいないために大勢の人が迷惑してます」 
はぁ?である。漏れが一体ナニをした?コイツ、勘違いも甚だしい。何様だ。 
ガムテープの件といい、正直かなりむかついてきた。 
犯人にはいずれ会うだろうから、ガツンと言ってやろうと思った。 

犯人との対峙の時は唐突だった。漏れがたまたま早く帰った日だった。 
お察しの方もいるでしょうが、ガツンとなんて言えませんでした。ハイ。 
オートロックの玄関に、明らかに堅気じゃない、場にそぐわない2人組。 
ジロリと睨まれる。これ、ひと目で分かる893さんですね。ハイ。 
兄貴分と思われる方が「○○さん?」と確認してくる。ハイ私です。 
さすがに僕の方は堅気ですから言葉遣いは丁寧です。 
しかし散々待たされたストレスでしょうか。なんかピクピクしてます。 

そのスジの方の話はこうだった。 
オーナーは借金を抱えていて、我々はその回収をしている業者の一人だ。 
自己破産寸前にして、オーナーはどこかへ身を隠した。 
隠れ家の候補として、この(漏れが住んでる)部屋も疑われた。 
とりあえず、あなた(漏れ)とオーナーとの関係を確認させて欲しい。 

…要するにアレだ、身の潔癖を示せっつーんですね。ハイ。 
オーナーとは一面識もありません。ただの家主と借り主です。 
管理会社が入ってるんで、そっちに確認してもらえませんか。 
と、ドキドキしながらもその話は管理会社へ丸投げしてやった。 

彼等は「ここも違ったか…くそっ!」という雰囲気で去っていった。 
その後のオーナーがどうなったのか、知らない。 
風の噂では、どうやら無事に自己破産したらしい。 
僕の住んでいた部屋は競売にかけられ、オーナーが2回入れ替わった。 
不動産会社が格安で競り落とし、速攻で新しいオーナーに売ったのだった。 
オーナーが変わるたび新しい契約書を書かされたが、僕の生活は何も変わらなかった。 

親戚の子に貸したいから出ていけ、というのは嘘だったんだろう。 
しかし…あの時、漏れがすぐに引っ越ししていたらどうなっただろう。 
債券取り立て屋は、かなりスピーディに漏れの部屋を嗅ぎ付けた。しかも複数組。 

もし、オーナーが予定通りあの部屋を隠れ家にしていたら? 
果たしてあの玄関で893と鉢合わせたのがオーナーだったら? 
うん、まぁ彼等も無茶はしないと思うんだけど… 
自己破産されちゃ債券取り立てらんないしなぁ。 

そういや、漏れと遭遇した893は嬉しそうだたよ。 
「よし、他の連中より早く見付けたぞ!」って。 

以上、完全に実話だが…無駄に長いな。スマソ 

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