通報

514 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :04/04/05 23:17
猫にゴキブリを食わせた馬鹿な俺だよ。(笑)

俺がヤクザの組長の隠れ家を警察に通報した話をひとつ。
以下は暇な奴だけ読んでくれ。
俺は今でこそ、綺麗な住宅で家族で暮らしているんだが、それ以前は近所の小さなアパートに住んでいた。
勿論その頃には、まだ子供が生まれていなかったので、甘い新婚生活という程でもないが、それなりに楽しい生活をしていたのかもな。
で、事件はある日突然やってきた。
事件というのは俺が仕事を終えて、ゆっくりとTVで音楽番組を観ていた時に、なにやらアパートの裏側(正確には裏のアパートの二階玄関)で大声がする。
最初は「何だ?騒がしいなぁ」程度で無視していたんだが、その声は消えるどころか更にうるさくなってきた。
その頃の俺は営業の仕事をしていたせいか?
気が安定していなかったようだ。
若干神経質だった俺は、台所の小窓を開けて、静かにその声に耳を澄ました。

するとゴリラような黒服の大男が「兄貴ィ~」と連呼して、裏アパートの2階の一室の玄関のドアを叩いている。
ガンガンガンガン。
少々のうるささなら我慢できようが、並大抵ではない大音声である。
俺は性質の悪い酔っ払いだと思い、近所の平安を守る正義の味方よろしく、調子に乗って警察に電話をした。
するとすぐさま警察がやってきた。
すぐに連行かと思いきや、その警官は応援を呼んでいるらしく、無線機でなにやら早口でしゃべっている。
少し先ほどまでの空気が悪い方向へ変化しているのいは、小学生にでも理解できただろう。
警察無線から発せられる言葉の勢いが、辺りの空気に特別な緊張感を与えた。
すると続々と警官が到着。
アパートの壁がカンテラに照らされて赤く染まる。
警官6人ぐらいがあっという間に集合した。
オマケに救急車まで音を消してやってきた。
警察を呼んでしまった俺は、堂々と現場に赴いた。
その騒ぎの中で家(事件のあった部屋)に帰ってきた娘(6歳ぐらい?)に「大丈夫だよ」と優しく声をかけ、台所の小窓から心配そうにのぞいている我が妻に「温かいミルクをこの子に飲ませて」と事件のあったアパートの階段下で指示を出した。
そのゴリラはまさに酔っ払いの体で、よろめきなが警察官に両脇を抱えられながら「警察に連絡しやがったのはテメェかぁ?!」と階段下で俺を睨み、怒鳴りつけた。
俺は少し怖かったが、先ほどから酔っ払いとたかをくくっていたので、ひるむ事はなかった。
すると俺がミルクを与えた娘の母親が俺にこう言った

「薬をしたらもう駄目よ」

「!」その言葉を聞いた時に俺の頭の中の警鐘が鳴り出した。
雨がしとしと降る中で、救急車の中に捕獲されたゴリラは、事情聴取を受けているらしい。
すぐに救急車が病院へ急行しないのが不思議だったが、まず俺も含めて、誰の眼にも事件は一件落着したかに見えた。
あとはこの雨がこの混沌とした状況を洗い流してくれる。
単純な俺はそう思っていた。

後日、警察から電話が入る。
その電話で事件の一部始終の説明を受けた俺は、背筋が凍りついたような気持ちになったのを憶えている。
結論から言うとこうである。
あの夜に騒いでいた大男はヤクザの組長だった。
その兄貴もヤクザの組長をしており、丁度俺の住んでいるアパートの裏のアパートに、妻子と隠れて暮らしていというのだ。
弟の組長はそこを訪問中に(ヤクの妄想が原因か?それとも何らかの不義理が原因なのか?)兄と口論となり、弟は頭をウイスキーの瓶で酷く兄に殴られたらしい。
事件のあった部屋はガラスの破片&血の海だった。
そして血だらけの組長(弟)は家に帰ろうとするが、暗い雨の夜。
車まで行く途中で、ふらついて財布を路上に落としてしまったらしい。
しかしヤクに麻痺した弟組長の脳は、その事に気がつかなかったばかりか、兄の家に財布を忘れたと思い込んだらしい。

そこで「兄貴~俺の財布を返してくれ」と大声で戸を叩いて叫けぶに至ったのだという。
組長(兄)にしてみれば、身に覚えのない財布を「返せ」と迫るヤク中毒の組長(弟)に手を焼き、アパートの扉を閉ざして家に入れなかった。
最所は駆けつけた警官もただの酔っ払い騒ぎとたかをくくっていたらしいが、調べが進むうちに本物と断定。
ずっと以前から警察が血眼になって追跡していた指定暴力団組長(兄)の隠れ家は、こんなアホらしい顛末で警察にバレた訳だ。
うその様な本当の話。

警察には感謝されたが、、、、。

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