半分の家

392 名前:半分の家 :04/04/01 12:17
じいちゃんから聞いた話。
従軍中、幾つか怪談を聞いたそうだ。その中のひとつ。真偽は不明。

大陸でのこと。
ある部隊が野営?することになった。
宿営地から少し行ったところに、古い小さな家が、周辺の集落からはずれて
ぽつんと建っている。廃屋らしい。
使えるようなら接収するかということで、数人が調べに行った。
家の中には什器や家具が一部残っていた。
だが、なぜかその全てが真っ二つに割れ、半分しかなかったそうだ。
テーブル?も椅子も、水瓶も、かまども、戸棚も、何もかもが半分。
おかしなことに、それらも家同様かなり古いもののように見えるのに、
幾つかの品物の切断面は妙に真新しかったらしい。
調べに来た者たちがその異様な雰囲気に呑まれていると、一人が家の裏手から
鶏の死骸を見つけてきた。白骨化したそれも半分だった。
戻った彼らはそのことを報告し、結局その家は使わないことになった。
夜、警戒のため何人かが宿営地の周辺を巡回した。
翌朝になって、最後に巡回に出た一人が戻っていないことがわかった。
他の者の中に、夜中にあの家に明かりがついていたと話す者がいて、
すぐに捜索を行うことになった。民間ゲリラかもしれないからだ。
時機を見て突入したが、家には誰もおらず、また火を使った形跡もなかった。
行方不明になった一人は、昨日鶏が見つかった家の裏手で死んでいた。
争った様子はなく、着衣や装備にも乱れはなかったが、部隊に戻されることなく
その場で埋葬された。
遺体はひどく小さかったという。
その後まもなく、部隊は転進命令を受けてそこを離れた。
後になって、その辺りではあの家が「半分の家」と呼ばれて忌まれ、昼間でも
近づく者はいないという話を聞いたそうだ。

かなり前に聞いた話なんで記憶が曖昧。
ていうかリア消寝かす前にこんな話すんなよ、じいちゃん。

前の話へ

次の話へ