思い出の女の人

625 :M:2014/04/08(火) 16:12:37.83 ID:o+i/k/oE0.net

たいした話じゃないけど、ちょっと書かせてくれ。分けて書くね。 
5~6歳位のある日、新築間もない実家の座敷で昼寝をしていたとき。 
ふと目を覚ましたら、白い着物で髪の長い女の人が無表情で俺を見下ろしていた。 
子供心に「きれいな女の人だ!」と思ったのかどうか覚えてないけど、女の人に 
ニコッと笑いかけた。 
と、その瞬間、寝ていた俺の顔10cmまで顔を近づけ、悲しいような悔しさが 
にじみ出たような叫び声を上げ、般若じゃないけど鬼気せまる形相で首を絞められた。 
その後のことは覚えていないんだが、息ができないのと恐怖で気を失ったみたい。 
でも首にアザが残っていた。 

それから小学校に上がって、2年か3年の頃。 
当時はゲームなどない時代だったので、外で遊ぶのがメインだった。 
家は、よくある山の斜面を住宅街に造成した所にある。その住宅街の上の方に、ちょう 
ど斜面が禿げ上がった部分があり、そこから獣道に入っていける場所があった。 
ある日、友達2人と探検ごっこをすることになり、その獣道に入ってみることにした。 

分け入ってしばらくすると、獣道の先に女の人が歩いているのが見えた。 
「女の人がいる! ほら、あそこ!」 
と、言ったが、友達は見えていない様子。後ろ姿だったが、白い着物で、髪が長かった。 
怖いというよりも、こんな所に人がっっ! という、今考えれば意味不明な興奮で 
走って追いかけた。後に続く友達。 
行き着いた所には、小さな祠があった。何年も人が来たような雰囲気ではなかったのを覚えている。 
そこまで来てなぜか怖くなり、逃げるように帰った。 

獣道の探検ごっこはしなくなったが、その後も何回か女の人を見ることがあった。 
ふと振り返るとガラスケースの反射の中に女の人が、というような感じで、何かあるわ 
けでもなかったので、怖さはなく不思議だなぁと思う位だった。 
中高は県外の男子校で寮生活だったため、日々の生活で女の人のことは忘れかけていた。 

そして大学2年生のある日。大学は地元の三流大学だったので実家住まいだった。 
夜、ベッドで寝ていると、ヤバイ感じで目が覚めた。なんというか、動物的恐怖という 
か、ベッドの真横にヤバイ何かがおり、それに体が反応してすごい鳥肌が立っているよ 
うな感じ。動いたらヤバイと思い、寝たふりをしていたんだが、そう思いつつも、薄目だったらバレないだろうと、今考えれば意味不明な考えで真横を見てみた。 

いた……あの女の人が。でも不思議。部屋は真っ暗なのに、女の人だけライトを浴びた 
ように明るく見える。で、俺の顔を覗きこんでいる。顔がほてったような感じで、心な 
しか笑顔のように見える。やっぱ美人だったんだが、雰囲気がヤバイ。でも美人。でも 
ヤバイ。でもやっぱ美人。と、そのうち恐怖が大きくなって帰ってもらおうと、お経み 
たいなものを心の中で唱えたけど、効果なし。いつの間にか「ごめんなさい、ごめんな 
さい」と言うばかりになった。なんで謝るのか意味不明なんだが。 

しばらく半泣きの状況だったんだが、やがて女の人がすーっと窓から出て行くような 
雰囲気を感じた。「帰るんだな」と感じ、ヤバイ感覚が薄れてきたとき、安心と同時に 
なぜか「せっかく美人だから、格好もきれいだったらいいのに」と思った。 
で、何日か経った夜、現れた記憶がある。あやふやなんだが、目が覚めてふと見ると 
、ベッドから離れた場所で立っていた。ヤバイ雰囲気もなく、表情はおだやかで、格好も 
平安時代みたいな格好というか、位の高そうな感じだった。俺は「あぁ、やっぱり美人 
だ」と、なぜか安心して寝てしまった。 
その後、その女の人を見ることはなくなった。 

632 :M:2014/04/08(火) 16:42:32.70 ID:o+i/k/oE0.net
以上、オチなし。長文すんませんでした。 
色々調べてみたけど、その女の人について分からなかった。近所の山は片縄山。 
祠に通じる場所は、今は住宅地側からは行けなくなった。祠はもうないと思う。 
いやほんと、美人だった。これだけは覚えている。

前の話へ

次の話へ