山の使い

443 本当にあった怖い名無し 2012/06/15(金) 01:21:23.17 ID:+0Gk0DWB0

ばあちゃんが経験した話 
昔、じいちゃんが少し若い頃、山仕事が終わって軽トラでの帰り道 
まぁ今よりは若かったし早く家帰って酒飲みたかったらしくてさ、結構無茶な運転してたらしいんだ 
それで猪を轢いちゃったんだよ 
もちろん車はボコボコ、あんまり大きくない猪だったから、猪はふっ飛んで気絶 
ぶつかった衝撃も何のその、産まれてから生粋の山っ子のじいちゃんはすかさず鉈を出して「ご想像にお任せします」したわけだ 
それでボロボロになった軽トラの荷台に猪積んで意気揚々と家に帰ったんだけど 
家の庭にはすでに肉切り包丁と新聞紙なんかの所謂捌く準備が万端だった 
携帯なんかあるわけなく、じいちゃんもなんでや?と首を傾げてると、婆ちゃんが言うわけよ 
夕方、庭にそれは大きな猪が来て穴を掘りに来た 
ひとしきり穴を掘った後、何事かと見てた私をじっと見つめて一声高く鳴いて山に帰っていった 
それはそれは大きな猪だったからきっと山の使いに違いない 
だから、今日はあんたが狸かなんか持って帰って来ると思ったから用意しといたんだ 
じいちゃんもこれに驚く、訳もなく、後は二人で不思議なこともあるもんだとおいしく猪を食べたそうな 
でも、それからうちの家は食べた動物の供養は今でもその穴の付近にしてるんだよ 
信心(?)深いのか深くないのか 

476 本当にあった怖い名無し sage 2012/06/16(土) 10:09:29.92 ID:BxcsvEnm0
>>443 
あーそうか、やっとわかった。 
要するに婆ちゃんが云う“山の神”の子供だったんだ、爺ちゃんが轢いた仔シシは。 

親シシは、爺ちゃんが仔シシを轢いた事が分かって(多分、その現場は見ていない) 
爺ちゃん家に墓穴を掘りに来たんだ。文字通りの意味で。 
食ったらちゃんと弔ってくれよって事だったんだろうな。 

婆ちゃんの言葉じゃないけど、不思議な事もあるもんだ。 

前の話へ

次の話へ