助けてくれたカップル

8 本当にあった怖い名無し sage 2011/08/06(土) 14:17:06.68 ID:ewYkBPXlO
俺が見えるようになったきっかけを。 

小学3年生の時。ダチの家からの帰り道。 
その道は、周りをたんぼや畑に囲まれた、長い一本道だった。 
周りは誰もいない。俺はその道を、自転車を押して歩いていた。 
道の内側に自転車。俺は思い切り端を歩いていたんだが、道の真ん中ら辺で、不意に左足を滑らせて自転車諸とも畑にダイブした。 
畑と自転車に挟まれた挙げ句、左足を捻ったのか痛い。自転車を持ち上げることも出来ず、俺は不安から泣き出してしまった。 
そしたら不意に、大丈夫?って声を掛けられた。見上げたら、カップルが俺を見下ろしてる。 

助けてって言ったら、男性が降りてきて自転車を退けてくれた。俺を持ち上げて、道に上げてくれた。 
女性は俺の顔や服についた土を、持っていた真っ白なハンカチで払ってくれた。その間に男性は自転車も上げてくれた。 
やっと落ち着いて、ありがとうって頭を下げた。顔を上げるとカップルがいない。 
見渡しても誰もいない。その時は足の早いカップルだなあなんて思ったんだが。 
よくよく思い出してもおかしいんだ。カップルは男女共に真っ白な格好をしていた。 
男性はシャツにスラックス、革靴。女性はつばの広い帽子にワンピース、ハイヒールを履いていた。 
二人とも真っ白な格好だったんだが、顔だけが未だに思い出せない。 
それから色々と見るようになったんだが、出来たらまたあのカップルに逢いたいと思ってる。 
ちゃんと礼を言いたい。  

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