黒イノシシ

400 本当にあった怖い名無し sage 2012/02/27(月) 08:29:14.61 ID:H/jkyVZr0
以前このスレで、地元九州の山にいる動物たちの話を書き込ませてもらった者です。 
狸モドキといたずら猿、あと野良犬さんの話を見て下さった人はいるだろうか? 

今回は、前に話すのを割愛した『黒イノシシ』と『大ミミズ』の話を書き込ませてもらいたい。 
上2つの動物たちは、昔は地元の山にいたと伝えられているが、 
今はその姿を見た人はおらず、知人からの遭遇報告も聞いたことがなかった。 
自分がこれから書く話も、大人たちから山の怪談として教えてもらったものだ。 

401 本当にあった怖い名無し sage 2012/02/27(月) 08:33:31.20 ID:H/jkyVZr0
その①、黒イノシシ 
こいつの話は結構古いもので、時代的には明治か大正頃とほとんど昔話になる。 
当時、件の山を含む周辺の山々を縄張りにする、熊と見間違うほど真っ黒な毛色をした雄猪がいたらしい。 
この黒イノシシは両の牙が折れていて、『牙折れ』や『牙無しの黒』とも呼ばれていたそうな。 
これだけならただの黒いイノシシなんだが、昔の人たちはこいつと遭遇するのを酷く恐れた。 
というのも、黒イノシシは随分と不吉な存在だったからだとか。 
黒イノシシは人間と遭遇しても、突進してくることはまずない。 
代わりに歯ぎしり(牙ぎしり?)をして威嚇し、ギシ、ギシ、と大きな音を鳴らす。 
面と向かってこの音を聞いた人は、後で災難に見舞われたんだそうだ。 

どのような災難かというと、山を下りてから病気になり高熱にうなされる、道端で休んでる時にマムシに噛まれる等々。 
なぜそのような不運に見舞われるのか、当時の拝み屋が言うには、 
見えない牙で、人の見えない急所(運気とか厄とか)に噛みつかれるから良くないことが起きるのだそうだ。 
そんなんだから黒イノシシは荒神の類いとして扱われて、山の一角に小さい祠を建てられ祀られた。 
その祠の中に納められた御神体は、牙に似た形の石だったそうな。 
なぜそんな石が御神体になったかというと、 
黒イノシシは目に見えない牙で、本来なら触れられない人の運気や厄に触れて悪さをする。 
だから形のある牙をお供えすることで、これ以上運気や厄に触れないようにし、祟りを起こさないで貰おうって理由らしい。 
現在、黒イノシシが姿を消してからは祀り事は風化し、祠もほとんど放置状態とか。個人的には少し残念に思っている。 

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