無人駅
720 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage New! 2012/12/11(火) 19:35:10.11 ID:G+3GUFky0
友人の話。
彼は中学生の頃、電車で通学していたという。
夏のある日、うっかり寝過ごしてしまい、目が覚めて大慌てで車両から下りる。
そこは山中の寂れた無人駅だった。
時刻表を確認してみると、後一時間近くは上りの電車は来ない。
「早まったなぁ。売店のある駅で下りれば、パンとかジュースとか買えたのに」
ボヤきながらホームの奥にあるベンチに向かったが、既に先客が何人か座っていた。
「こんな僻地に、これだけ大勢の人がいるとは珍しいね」
そんなことを考えながら近寄っていったが、ピタリと足が止まる。
そこに座っていたのは、すべてマネキンだった。
一体誰が置いたものか。
慌てて踵を返し、ホームの反対側へ向かう。
近よるのが気持ち悪かったし、マネキンを置いた人物にも決して逢いたくなどない。
次の上り列車が来るまで、酷く落ち着かない気持ちだったという。