石像

825 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/04/10 00:01
昔、田舎の小学校に通ってるころの話。 

通学路の途中の竹やぶの傍らに、お地蔵さんが安置されていました。 
花やお供えものも時折見かける、何の変哲もないごくごくふつーのお地蔵さんでした。 

が、 

なぜか、そのお地蔵さんの土台?(足元辺り)にはひどく稚拙なつくりの石の人形の 
首だけがポツンと置かれていたのでした。 
凛としながらも穏やかな表情をたたえるお地蔵さんとは対照的に、彫刻としてのバランスを欠き 
やたら目だけが大きく、無表情あるいは虚ろといった印象でした。 
大きさはほんの握りこぶしほどで、うっかりすると見過ごしてしまいそうなほどでした。 
ちょうど、お地蔵さんの陰からひょいとこちらを覗いてる…あたかもそんな感じに置いてあるか 
のようで、小学生だった私たちには「怖い場所」のひとつでした。 

もっとも、何年もそこを通っていながら、気がつかなかった人も居たわけですが。 
とにかく、悪童たちでさえもちょっかいを出したがらない特別な場所であったわけです。 

件の石の首が怖がられた理由のひとつが次のような噂(あるいは小学校に代々伝わる伝説か?) 
でした。 

曰く、石の首の後ろには恐ろしい別の顔が彫ってあり、その顔を見た者は呪われ、 
そのときから石の後ろの顔は、それを見た者の顔に変わる・・・云々 

田舎の小学校には珍しい転校騒動が起こった時も 
転校していった○○はそれを見たらしいとか、見たから転校する事になったとか、 
後ろの顔は○○が叫び声をあげる恐怖の表情になっているとか、いい加減な噂も飛びました。 

時がたち、今になっても石像の由来はついに聞く事はありませんでした。 
「そこ」が何かいわくのある場所であるという話もありませんでした。 


それでも 

私は今でもこの石像が怖いです。 
二度と見る事はないでしょうが。 

前の話へ

次の話へ