欠損人形

268 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2016/06/30(木) 00:57:53.01 ID:rscjXEz30.net[1/4]
その話を聞いたのは小学生三年生の頃だった。 
ある生徒の自宅が火事になり、死人が出た。 
多分生徒の祖母だったと思うが、同級生でもなく、 
顔も知らなかったので噂話で終わったが、半焼した家が通学路にあった。 

半焼した家はなぜか一年以上放置されていて、自分が五年生の頃、 
その家に関するある怪談話を耳にした。 

隣のクラスのお調子者が、その廃墟に無断で入って、 
奇妙な体験をしたという話だった。 
そのお調子者のAは四年生の時に転校して、 
既にいなかったが、Aの話は一年後も語られることになった。 

Aは半焼した家に悪ガキ仲間と上がり込み、 
トイレだか風呂場だかで人形を見つけたらしい。 
ビニールの古いキューピー人形。 
それは片腕がないだけで、これといった特徴はなかったが、 
Aだけが目撃した。

片腕の人形を見たAが転校したことで、 
人形の話が独り歩きした感じになった。 

中学生になった時も、なぜか人形の噂話を聞いた。 
ある女の子が公園のトイレで変質者に襲われ、 
しばらくトイレが使用禁止になった。 

その後トイレが使えるようになったが、なぜかその身障者用トイレに 
片腕のキューピー人形があったらしい。 
自分が直接見聞きした話ではなく、あくまで噂話だったが、 
片腕の人形のイメージだけが記憶に残った。 

そして三年後、高校生になった時、夏休みに 
友人三人とキャンプに行った。 
海水浴場にあるキャンプ場で、泳いだり、カレーを作ったり、 
花火をやったりで、何事もなく二泊して過ごした。 

自転車で帰る途中、路肩のガードレールに缶ジュースや干からびた花束が目に入った。 
ちょっと気になったが、コンビニで休憩した時、誰もそのことを口にしなかった

それから数年後、社会人になって地元を離れた。 
ある年の正月、帰省して久々に高校時代の友人と会った。 
数人集まって飲むことになり、十年ぶりくらいにある友人と再会した。 

夏休み、一緒にキャンプに行ったCだった。 

けっこう飲んで深夜になり、三人で近くの神社に初詣に行こうとなった。 
言いだしたのはCで、大学生の時に交通事故で亡くなったDの話がきっかけだったと思う。 

「あの夏、キャンプに行った帰り、Dは事故現場で変な供え物を見た。 
それは、首のない人形だった」 
その時初めて聞いたが、一気に酔いが醒めた。 
「俺は何も見なかったけど、Eも人形を見たそうだ。・・・でもEが見たのは、 
片足のない赤ちゃん人形だった」 

深夜のドライブで、運転したEが事故を起こし、 
Dは即死。Eは両足骨折だった。 
Cは言った 

「俺は実際人形を見てないのに、なんか見たような気がするんだよね。 
・・・・おまえは?」 
どう答えていいのか分からなかったので、俯いて黙った。 
でも言葉は浮かんでいた。 
「その人形、いつか見るような気がする」 

終わり。

前の話へ

次の話へ