新聞配達員



950 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2016/06/28(火) 16:22:12.06 ID:OOkTqXO+0.net[2/4]
うちにくる新聞配達員は足音がやけに大きく共有部の階段なんかもドスドス上がるので 
壁の薄いうちのアパートではもう朝刊の配達の音で目が覚める程だった 
ある日ふと思いつき朝の4時頃に来る新聞配達員を驚かそうと思った 
怖い話でよくあるポストに何かを投函した瞬間に引き抜かれるという話。 
まともな配達員からすれば大変迷惑な話だけれど自分なりの仕返しで、っていうのは嘘で 
もう思いついたらどうにも止められない程相手が驚く様を想像してわくわくしていた 
翌日の3時頃に目覚まし時計の音で起きて、俺何やってたんだろうと少し思ったけど 
余裕を持って4時10分前に真っ暗な玄関口に立った時点でもうテンションマックスだった 
コンクリの玄関床に足が少し冷え始めた頃にアパートの共同の入り口が開く音がして 
クスクス笑いをこらえながらポストに新聞が投函されるのを待っていた 
少しすると足音が隣の隣辺りの部屋の前から聞こえてきて、いよいよ勝負の瞬間だと身構えていた時に 
足音が消えた。あれ、と思い思わず戸に耳をつけてみたけれどなんの音もしなかった 
5秒位してゆっくり耳を戸から離した時にちょっとした疑問に行き当たった。このアパートは自分以外にも何部屋か新聞を取って 
いたのだけれどさっき共同の入り口が開く音が聞こえてから今までポストに何かを入れる音はおろか 
足音が止まる様子すらなかった。新聞配達員の鞄か何かを抱えて新聞片手に汗をかいているイメージは 
一気に崩れさり板一つ挟んだ向こう側に何がいるのか到底検討がつかなくなり、膝が少し震えだした 
今すぐにでも部屋の奥に戻りたかったけれど、アパートの壁はもちろん玄関も粗末なドラム式なのでここからリビングに戻るには 
どうしても床の軋みが戸の向こう側にいるやつに聞こえてしまう、まだ暗い朝の4時頃に人の玄関前に用も無く立つ 
ようなやつに存在を知らせるのがやけに不気味なことに思えた。そして震える膝に手を伸ばそうとした時外から何かの音が聞こえた 
少し耳を澄ましてぱかぱかという音が聞こえたとき直ぐにその正体が分かった。近くの部屋のポストを開けている音だった 

音の正体が分かった途端動揺して体が少しよれ、膝がドアに当たりそうになった 
思わず顔を上げるとスコープが目に入り廊下の蛍光灯の光が少し入っていることに気づいた。外からはぱかぱかと相変わらず小さな音が聞こえてくていた 
光を眺めると少し気分が落ち着き、奥へ行くなら今しかないと思い全身の力を足に入れてゆっくりゆっくり後ずさる 
とにかく音を立ててはいけないと繰り返し考えながらグニャと何かを踏み驚いてふひ、みたいな声が出た。直ぐにスニーカーだと気づきホッとして下を見たけれど 
真っ暗で足先位までしか見えなかった。とにかく落ち着かなければとまた意識を足に向けようとした時に違和感があった。さっきまでこんなに暗かっただろうか 
ゆっくりと顔を上げるとスコープから光が洩れていなく、カチカチと自分の歯がぶつかりあっている。戸の向こうに何かいた。思わず鍵を確認したけれど鍵はしっかりとかかっていた 

戸の向こうからぼそぼそ声が聞こえてた。嫌でも耳がその声に集中しはじめ段々と言葉の意味が分かってきた 
いる?いる?いる?いる?いる?やけに子供っぽい口調の男の声だった。もう精神的に限界だった。 
「誰だお前」思わず戸の向こうに声を掛けたら声が止んだ。その時ぱかっとポストが開き目が二つ見えた 
いたいたいたいたいたいた。そのあとクソして寝た。戸の向こうのやつは死んだ。終わり

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