茶色い大きなもの

317 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/02/23 05:53
小学4年生の夏です。祖父の通夜の日の真夜中、目が覚めた私は母屋にあるトイレに行こうと真っ暗な庭を横切りました。 
(祖父の家は相当大きく、古く、私と、そして祖父が死んだ部屋にひとりで寝るのが寂しいと言った祖母は母屋から庭を隔てた離れに寝ていました) 
母屋の縁側でお酒などを呑んでいた大人たちもみんな寝静まったらしく、明かりも消えていました。 
縁側のサッシがなぜか開きっぱなしになっていて、真っ暗な家の中が見えるのです。 
とても静かな夜で、庭の木々のせいかとても涼しかったのを覚えています。 
寝ぼけていたのかどうか今となっては分かりませんが、縁側の奥から、茶色い大きなものが伸びてきました。 
音もなく、です。 
私は怖かったんですがそばの植え込みにうずくまって、その茶色のものを見つめました。 
それは闇の中から1mくらいの高さに浮かんでいるように見えました。 
牛の首でした。赤牛だったんです。目が人間の目をしていました。 
(祖父の家は確かに田舎でしたが、その近くに畜産場もなければ牧場もありません) 
私はしずかに祖母の寝ている離れに戻り、そのまま寝ました。 
次の日の朝、祖母が私に言いました。 
「きのうのばん、急に出て行ったK(私)は1時間ほどして戻って来、また寝たが、 
それからしばらくするとまた起き上がり、口を大きく開けてパクパクさせた。目は閉じていたがひきつっていた。 
それから両手を前に突き出し、そのあと喉のあたりをかきむしるしぐさをした。 
おじいちゃんの今際の際にそっくりだった」 

前の話へ

次の話へ