逆さま

99 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/02/19 04:17
僕は結構見るんですよ、不思議なものを…… 
これは一年ぐらい前の話で、バイト帰りの近鉄○○線でのことです。僕は車両の一 
番端、三人掛けの座席に座っていたんです。確か、土曜の夕方、六時半過ぎぐらい 
でしたが、なぜだかその車両は空いていて、降りる駅の三つ前くらいにはガラガラ。 
向かいの座席に高校生ぐらいのカップルがひと組座っているだけでした。僕はいつ 
も通り、下を向いて雑誌を読んでいたのですが、向かいのカップルが席を立った気 
配で何気なく顔を上げたんです。 

「しまった……」 

誰もいなくなった座席の窓、そこに外から手が張り付いてたんです。それも逆さに。 
つまり電車の上から手を下ろしてるって感じで。 
一瞬、席を移動しようか迷ったが、あと二駅だし「気が付かないフリをした方がい 
い」と反射的に思ってそのままにしていました。僕が降りる駅では、扉はこっち側 
が開くから、前を見ないでそのまま降りてしまえと。 
そして、そのまま雑誌を読んで(実際は読んでなんかいないんですけど)、長い二 
駅を我慢していた。 

でも、見てしまうんですよね。人って…… 
立ち上がった瞬間、チラッと。 
「うわっ!」 
窓いっぱいに張り付いた、逆さま男の上半身、ギョロッと剥いた白眼。バッチリ眼 
が遇ってしまいました。 

電車を降りて、気になったこと。それは、 
入れ違いに乗った家族連れが、その窓の席に座ったことでした。小学生ぐらいの子 
供が、その窓を開けようとしていたんですよ……電車が動きだしたから、その後ど 
うなったのか、わからなかったのですが。 
もう、怖くてしばらくホームから動けませんでした。 

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