殿山

 
539 :殿山[sage] :2009/11/29(日) 11:18:43 ID:GBO2YqCq0
20年以上前の私がまだ子供の頃の体験です。 
場所は関西の田舎
その村には「殿山」と呼ばれる丘がありました。 
山と呼ばれていても見た目は大きく盛り上がった丘で 
何でも地元の殿様に献上する為の作物を作る畑や田んぼの集合体です。 
当時は数件の家が共有し畑や田んぼを使っていました。

その奥には竹林が続いていて親に絶対に行ってはいけないと言われていました。 
おばけが出るとか、底無し沼があるとか・・・

そんな事言われたら逆に行きたくなりますよね。特に子供は
で、ある日小学校高学年の時に友達と殿山に行きました。 
畑や田んぼを抜けて目的の竹林に到着。 
ずっと奥には古いボロボロの小屋(廃屋)がポツンとありました。 
人目で誰も使われていないと感じ、もしかしたら秘密基地にできるかもと 
ワクワクしながらその小屋の中を覗きました。

でも・・・その中にいたのは刀を持った侍でした。 
今から考えると浪人?って感じの人が廃屋の中に立っていました。 
その時は怖いっていうより、見つかったら怒られるって感情で竹林から走り出しました。

そして畑のエリアに行くと数人の農作業をしている老人がいました。

辺り一面、畑と田んぼなので隠れる場所もなく 
仕方なく友達と2人で無言で通り過ぎようとしました。
農作業している老人達が一斉にこちらをガン見してます。 
そこで初めておかしい事に気付きました。 
誰一人知らない人ばかりなのです。

殿山の田畑はどの家が使っていたか知っていたし 
村の老人たちも名前はわからなくても顔は祭りや行事で全員知っています。 
それなのに全員知らない人ばかりだし、服装も何となく時代劇で見たような感じでした。

僕たちは一瞬過去にタイムスリップしたのでしょうか? 
それとも死して尚、殿様に献上する作物を作り続ける農民の霊を見たのでしょうか?

最近実家に帰省して思い出した話でした。

そうですね。殿山を出ると別に普段のままでした。
それ以降、殿山の横の水路で魚やサリガニとったり 
周辺を走り回ったりして遊んでましたが不思議な体験は無かったですね。 
ただ、殿山自体には足を踏み入れる事はありませんでした。

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