お姉さんの魔法

 
595 :本当にあった怖い名無し[sage] :2009/12/01(火) 05:13:56 ID:3szc+mIxO
このスレを読んでいて思い出した話があるので投稿させてもらいます。二十年くらい前、五歳くらいの時の話です。 
私が通っていた幼稚園の保母さんは私の親戚のお姉さんで、私はそのお姉さんによく懐いていました。 
お姉さんは不思議な事(今思えば子供だましですが)をたくさん教えてくれました。 
ジャンケン勝つ方法だとか、好きな男の子を当てる方法だとか。 
そんなある日、帰る時間になった頃、私と他に二人程が迎えに来るお母さんを幼稚園で待っていました。ほとんどの子はバスで帰るのですが。 
待っている間はヒマだったので絵本を読んだりしていたのですが、お姉さんが教室に戻ってきて、ニコニコしながら「じゃあ今日は、特別に先生が皆に魔法をかけてあげるね」との事。 
私達はいつものようにはしゃいで、どんな魔法かな??とワクワクしていました。

お姉さんはまず最初に私に魔法をかけてくれました。両手で私の耳を優しく包んで、目を閉じて集中。という感じで、他の子も同じように順番に魔法をかけてもらいました。 
「この魔法はね、今日一日だけ動物とお話が出来るようになる魔法なの。でも、誰かにこの事を喋っちゃったら、体が溶けてなくなるぞ~。」と、笑いながら私達を脅かしました。 
そのうちお母さんが迎えに来て、お母さんはお姉さんと軽く会釈をし、二人で家路に着きました。 
家に帰った私は、動物とお話がしたくてたまりませんでした。私の家には金魚が二匹いたので、金魚の声も聞こえるのかな?と、水槽に顔を近づけてみました。 
すると、「〇〇帰ってきた。」「水槽の水、次いつ変えてくれんの?」などと喋る声が、頭に直接流れ込むようにして聞こえてきました。 
私はハイテンションになり、金魚に話し掛けてみましたが、私の声は聞こえないようでした。 
他の動物の声も聞いてみたくてお母さんに外に遊びに行きたいと訴えたのですが、今日は家にいなさいと言われ、仕方なく一日中水槽の前で過ごしていました。 
金魚は「〇〇、なんでこっちずっと見てんの。」とか、「餌の種類変えてくれねぇかな。」とかどうでもいいような会話ばかり続けていました。

翌日お姉さんにまた魔法かけて!とお願いすると、「昨日は特別だから。また今度ね。」とたしなめられました。 
それから幼稚園も卒園して何年か経った頃、お姉さんは結婚する事になり、遠くへ行ってしまいました。 
またいつかお姉さんと会えたらその時の事を聞いてみたいとは思うのですが、現在私の家とお姉さんの家は仲があまりよくない状態なので、連絡もとれません。 
でもまたどこかで偶然お姉さんに会えたらいいなと思います。 
ちなみに体は溶けませんでした。

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