おねがいします

403 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/06/05 21:14
五年前新築のマンションに越してきた。 
某有名武将が死んだ地だ。 
入居と同時に、身体を壊した。 

回復すると同時に、見えてきたものがある。 
昼日中、廊下を歩く、黒い足。 
うわさに聞く、こつこつと床を叩く天井の音。 
壁に耳をつけても、響く音は無い。 

部屋の机の位置を替えたら、 
闖入者が現れるようになった。 

ゆっくりと足音重く部屋に入る、背の高い男。 
のどに生暖かい指を当てられたこともある。 
どちらも、夢うつつの状態で現れ、あわてて 
電気をつけても姿はない。 

昨晩は、左の肩から、小さな手で登ってこられ、 
ささやかれた。 
「こどものことをおねがいします」 
やけに滑舌の良い女の声だった。 
夢だと断定するには、奇妙なリアル感。 

なぜあの声は、ガラスの玉のなかで発声された 
かのように、ちいさく広がり、くぐもったのだろう。 

そして不審に思うこと。 

わたしは何を託されたのだろう?
 

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