青木ヶ原樹海 留守電

霊感なんてないのに@特選怖い話:2016/02/13 21:58 ID:FoE9hZR6
今まで霊感なんてないと思ってた僕が、初めて体験した不気味なお話です。
ひょっとしたら、あの場所に行って同じ体験をした方もいるかもしれません。
なぜなら、連れて帰ってきては、いないと思うからです。

夏だったと記憶してますが
友人3人で山梨県にある富士五湖の一つ、西湖の近くにある風穴という
観光名所に行こうという話に、なりました。
自宅から富士五湖までは、車で1時間半はかかる場所にあったのですが
昼過ぎに出発した為、着いた時には午後2時を過ぎていたと思います。
風穴は歴史的にも価値のある天然記念物の洞窟で、夏でも中に入るとひんやりと涼しく
洞窟奥には万年氷と呼ばれる、溶けることがないとされる氷の柱があったりして
結構楽しめました、僕達はそのあとの予定も特になく、せっかくここまで来たんだし
まだ日も出ていたので、付近をブラブラしてみることにしました。

ここで帰っていたらあんな事は起きなかったのにと今思います。

車を風穴の駐車場に止めたまま、道路を挟んだ遊歩道に向かいました。
ここは普段でもウォーキングコースだったり写真を撮ったりする人がいて
道は砂利道ですが、ちょっと散歩するにはとてもいい場所です。
少し奥に入っただけで周りには木しか見えなくなるので遊歩道を少しでも外れると
入ってきた場所がわからなくなるほどです。

僕達3人は空気が美味しいだとか、たまには森を散歩するのもいいね、だとか
思い思いの言葉を口にしながら奥に入って行きました。
どれほど歩いたでしょうか、体感的にはそんなに奥に来てないと思ってましたが
時間を見ると16時になろうとしていて、そろそろ駐車場戻ろうかと思いました。
そんな時、一緒に来ていた(仮にTちゃんと呼びます)
Tちゃんが、なんか森の奥の方から視線を感じると言い出しました。
そもそも、Tちゃんは霊感はあるほうだと思うからあんまり奥までは
行きたくないと言っていたのを思い出しました。
Tちゃんが気持ち悪がるので僕と(仮にN君と呼びます)
N君もだんだん気持ち悪くなってきて、よしっ!引き返そうって事になりました。
木が多いせいか、雲がかかってきたのかはわかりませんでしたが
あたりはぼんやり暗くなってきていました。
僕達はTちゃんがあまりにも怖がっているので僕達も怖くなっていて、
皆、早歩きで駐車場を目指しました。
Tちゃんがしきりに森の奥を横目でみながら早歩きしているので
なんだよっ!どーしたの!?と聞くと
僕達に並行して早歩きで何かが追ってきてるといい
僕らも彼女の視線の先を見ましたがなんにもいません。
とにかくTちゃんがなんとも言えない恐怖の形相で早歩きしているので
これはただ事ではないと僕らも察して大急ぎで駐車場にむかいました。

なんとか公道までたどり着き駐車場が目の前に見えました。
みんな息切れをしていて、無我夢中で戻ってきたんだなと思いました。
なんだったの?とN君がTちゃんに聞きましたが、Tちゃんはもう帰りたいとしか
いいません。僕達3人はひとまず車に乗って深いため息をつきました。
何が何だかわかりませんでしたが、とにかく全員無事だったので
さぁ帰ろうかとエンジンをかけました。
みんな携帯を車においたままだったので
ふと、自分の携帯をチェックしようと手に取ると、着信ありになっていて
誰だろうと思って履歴を見ると不思議な事に、なんの表示もでていなかったんです
というのも、携帯って公衆電話からかかってきているものなら、公衆電話と
非通知なら非通知と出るはずなんです。ところが僕にかかってきていた電話は
なんの表示もないのです。3分前の着信、ちょうど無我夢中で走って公道に出た
時間帯です。なんか気持ち悪さを感じました、その追いかけてきてた何かからの
電話だっりして、なんてホラー映画のようなものを想像してしまいました。
でも、その時は本当にそう思えたのです、なぜなら
着信あり 一件の留守番となっていたからです。
すぐに2人にこのことを伝えました。
するとN君が青白い顔で、嘘でしょ!?俺の携帯にもかかってきてるんだけど!って
すぐにN君の携帯を確認すると、自分と同じ時間に着信、留守電一件
寒気がしました、Tちゃんの携帯はなにもなく普通でした。
僕は気持ち悪かったけど留守電を聞く事にしました....
一件の新しいメッセージがあります ◯月○日 何時何分...
しばらくなんの音もしません、聞いていると突然
チャッチャララチャッチャチャッチャチャー
チャッチャララチャッチャチャッチャチャー オルゴールです。
文字では伝わりにくいですが、チャイコフスキーくるみ割り人形の行進曲です
10秒ほど流れてブチッと切れました。
恐る恐るN君の留守電を聞きました 
オルゴール、やはりくるみ割り人形行進曲です
ただ僕のと違っていたのは曲の最中にノイズが入っており
何度か3人で聞き直しました。
Tちゃんが叫びました、ギャァァァァー!!!
女!女の声が聞こえるっ!!!女の声が聞こえるっ!!!
僕はすぐに聞き直しました、確かに女のような、か細い声のようなものがはいってます。
みんな静かにっ!もう一度再生しました... 明らかに女の声で
助けてぇー助けてぇーと声が入っていました。
僕は心の底から、その電話の彼女に、ごめんね僕達はなにもできないです。
あなたを連れて帰れません。成仏してくださいと念じました。

僕達はなんとか車で地元まで帰ってこれました。
あれ以来お互いなにもなく元気に過ごしています。
最初に述べたように僕達は連れて帰ってきていません
今も彼女はあの場所にいて、助けを求めているのかもしれません。
あの電話はあの世からの電話だったのでしょう
怖いもの見たさや、肝だめしで樹海に入ったわけではありません
しかし、こうゆう体験をすると 二度とそうゆう所にはいけそうにありません。
しかし、なぜ、くるみ割り人形のオルゴールだったのでしょう?
未だにわかりませんがわからない方がいいのかもしれません。

お付き合いありがとうございました。

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