話し声

204 本当にあった怖い名無し sage 2012/07/27(金) 20:15:21.96 ID:VnQsMrx10
母が体験した事を書きます。 

もう何十年前になるか忘れたが、あるお盆の夜に、母が血相を変えて帰ってきた。 
落ち着かせて話を聞くと、こんな話をオレにした。 

たしか知人の家から帰る途中、近道をしようと思い、墓地を通り抜けたと言ってた記憶がある。 
墓地と言っても、さほど大きいところではなく、せいぜいマンション一軒分くらいの広さだ。 
ただ、明かりなんてほとんど無いので、薄気味悪いところではあったが。 

だが、寺の多い町で生まれ育った母にとって、墓地は遊び場だったと聞いたことがあるので、 
墓地が怖くないから、近道したんだろうと思う。 

さて話の続きだが、母が墓地を歩いて、真ん中あたりに来たときに、 
あちこちからボソボソと声が聞こえてきたそうだ。 
あぁ、お盆やからねぇ。お参りに来とるんだわ。 
気にすることなく、歩き始めた母だったが、少しかわった事に気がついたそうだ。 

・・・だれもおらん。 

少し怖くなったので、早足でそこを抜けようとした、そのとき、 
ボソボソした声が、だんだん近づいてきたそうだ。 
よく聞くと、大勢の人間の声で、何か話している、というか、こちらに話しかけている。 
老若男女のまじった、小さいが大勢の声が、自分をかこむように、だんだん近づいてくる。 
固まってしまった母の耳元に、声たちはだんだんと近づいてきて、最後に耳元でこう言ったそうだ。 

き い て 

その後、無我夢中でパニックになりながらも、家に転がり込み、 
オレにそんな話をした、ということだ。  

それから何年の後に、その墓地は、都市計画によって移転させられてしまった。 
オレの伯父が、そのころに役場の都市計画課にいたのは、単なる偶然だったのだろうか。 

以上です。テンプレ通りですみません・・・。 

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