なんとか県◎◎

670 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/08/31(日) 16:11:15 ID:Tky/PfCjO
小さいころ、うちの婆さんの家のタンスに入ると変な町に行けた。 
つるさってる服の奥にどんどん進んでくと、(奥に進めたことがまずおかしいわけだが) 
デパートの洋服売り場みたいな場所に出た。また商品の服の中に入ると婆さんのタンスに帰れた。 
そこは普通っぽいデパートなんだけど、商品に値札がひとつもついてない。 
勝手に持っていってもいいことになってて、俺はいつも食品売り場で菓子を食ってた。 
やたら綺麗な色の、見たこともない菓子ばかりで、どれもすごく美味い。 
お土産として持ち帰ろうとしても、いつもいつのまにかポケットから消えてしまう。 
そのデパートの外観は109っぽい感じだったと思う。 
(初めて109を見たときに「あのデパートに似てる」って感じた) 
隣には映画館があって、ここでも無料で映画を見られる。 
いつもアニメ映画をやってた。昔話調の話が多かった。 
聞いたこともない面白い昔話ばっかりだったのに、内容はひとつも覚えてない。 
その町にはいろんな店があったんだけど、店員らしい人がひとりもいなかった。 
いるのは通行人か買い物客だけ。みんな、なんとなくフワフワした雰囲気。 
大人のひとほど上の空な感じだった。その町で仲良くなった子供もいた。
その町の地名は「なんとか県◎◎」 
県名は忘れた。日本語っぽい音だったが、現実に存在する47都道府県のどれとも違う。 
◎◎は確か「マ」から始まる4文字の言葉。マしか覚えてない。

婆さんの家が改築されてから、もうあそこには行けなくなった。 
同じところに行ったことあるやつ、いないか? 
あそこで仲良くなった子たち、みんな違う県から来たって言ってたんだ。 
入り口もタンスだけじゃなくて、いろいろあったらしいが。

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