這いずる

867: 本当にあった怖い名無し:2011/09/06(火) 14:12:15.50 ID:LtW+DkwfO
母の知り合いの弟の20年位前の話。

地元のとある私鉄の線路沿いの借家に、弟さんは一人暮らしをし始めた。
平屋建ての小さな古い一軒家で、すぐ横はフェンスを挟んで線路のためか、とても安かった。
田舎なので電車の本数は少なく、夜もあまり通らないので騒音はあまり気にならなかったそうだ。

引越して数日たった夜、敷地内の砂利を踏む様な音に弟さんは目を覚ました。
泥棒かと確認しようかとも思ったそうなのだが、施錠をしっかりしてあり安心だったので、
仕事の疲れもありその日はそのまま寝たそうだ。

数日後、また夜にあの音が聞こえた。

また無視をしようかとしたが、おかしなことに気がついた。
歩いているというより、ずっているような音だった。
奇妙に感じ、音の聞こえる方をサッシ越しにみた。

数メートル先の砂利の上を、下半身の無い人が這っていた。
ぐるぐるとその場を回っている。
驚いて弟さんは悲鳴を上げてしまった。

するとそれが此方を向いた。
パニックになった弟さんはカーテンをしめ、ベッドに戻り布団を被った。
気がつくと外の音は無くなっていた。

ズサッ…

部屋の中から聞こえる。
弟さんは布団の隙間から音のする方を恐る恐る見た。
あれは部屋の中に入って来ていた。
老夫が上半身のみの姿でニタニタ笑いながら這いずり回っていた。

弟さんは、あまりの恐ろしさに震えながら布団の中で耐え続けた。
朝方になり音は消えた。

だがそれは時々出て、ただ這いずり回るだけなので、弟さんは2年間そこに住み続けた。 

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