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祖母のお経
ヨシムラ@特選怖い話:2019/11/25 06:41 ID:M5k0jHO.
母は、大阪生まれ大阪育ちで、当時大阪に就職していた父と出会い私が産まれました。
私が産まれた頃、父は実家の自営業を継ぐため、親子三人で九州の地元に戻り、生活をしていました。
しかし、実家の自営業も経営が苦しくなり、お金も無く、
母が大阪へ里帰りできるのは5年に一度あるかないかでした。
これは、私が15歳の頃、大阪の祖父が病に倒れ、母と私がお見舞いとして、大阪に行ったときの話です。
大阪の実家は祖父と祖母の二人暮らしで築40年程の2階建ての家に住んでおりました。
昔は母とその姉も住んでおりましたが、二人とも嫁いでおり、子供部屋であった2階は誰も住んでおらず、また、祖母も足が悪い為、何十年も時が止まったような物置部屋のようでした。
間取りとして、ベランタ、姉の部屋、母の部屋、物置部屋が襖で遮られているような簡素な間取りで、姉の部屋にはひぃばぁちゃんが天理教に入っており、天理様?を祀る仏壇のような物がありました。
霊感など一切ない私でも2階に上がるのは怖いと感じるほどでした。母も同じようで子供の頃から怖かったようです。
なので、私達は1階で寝ることにしました。
実家を訪れてから夜のことです。
夜中の0時頃に誰もいない2階からコンコンコンと小さな物音が聞こえ始めました。母と私もまだ起きており、
風の音かな?それともねずみ?と二人で話しておりました。
最初は小さかった音もコンコンコンから徐々に大きくなり
ドンドンドンっと足音のような音に変わっていき、
聞こえる感覚も早くなっていきました。
流石に私達も風やネズミではないと感じ、恐怖を覚え始めました。母は震えながら私に耳をふさいでと言いました。
その時、隣の居間から祖母が起きる音が聞こえ、祖母は隣の居間にある仏壇に座り、襖越しからお経を唱える祖母の声が聞こえ始めました。
そこから、ドンドンドンっとなっていた足音も徐々に小さくなり、最初のコンコンコンっと小さな物音に変わりました。
音も小さくなった所でお経も終わり、祖母はまた眠りにつき母と私はヤバいと感じながらも眠る事にしました。
翌朝、私は祖母に昨日の夜の物音はなんだったのか訪ねてみることにしました。
すると祖母は、何の話?知らないよと言い、足音どころかお経を唱えてもいないと言い出しました。
流石にこれは私の夢ではないと思い、隣で聞いていた母にも、ねぇ!昨日、足音聞こえて、ばぁちゃんもお経を唱えてたよね!っと聞くと、母はあんた夢見てたのよ、私も知らないよっと言いました。
母も知らないと言っている、私の夢だったのか、いやでもあれは、っと私の中で自問自答を繰り返し深く考えないようにしました。
それからは、足音は聞こえず、私達は九州に帰りました。
その帰りの飛行機の中、私はやはりあの事が忘れられず、
母にもう一度尋ねてみました。
やっぱりあの足音聞こえてたよね?すると、母は、
ええ、聞こえてたよっと答えました。
なんで、あの時に聞こえなかったっと言ったのと問うと、
ばぁちゃんはひぃばぁちゃんみたいに何かにすがり付いてしまうかも知れないと思ったから、天理教やその他の宗教にばぁちゃんが入ると困るでしょっと答えました。
その時はなるほどと思いましたが、大人になった今疑問がいくつも残ります。
・なぜ?祖母は私に足音は聞こえてない、お経も唱えていないと嘘をついたのか?
・母は祖母の嘘をわかっているのに、尚も私に聞こえてないと言ったのか?
・天理教の仏壇はなぜ1階ではなく、2階の姉の部屋なのか?
・ひぃばぁちゃんが亡くなっているのになぜ天理教の仏壇があるのか?
答えは誰も教えてくれません。
私が体験した不思議な話です。
PS、祖父が亡くなり、葬式で再び帰った際、コンコンコンとなっていた2階の足音もそれから一切消えました。夜中母が小声でお父さんが持っていってくれたのねっとそっと呟きました。