交差点 - 島田秀平
交差点って、人や車だけではなく、
色々なものが行き交う場所だと言われているんですね。
中でも渋谷の交差点。
ハチ公前のスクランブル交差点って大きいですよね。
あそこは霊が見える方からすると、とにかく色々なものが集まってきていると…
たくさんの人に紛れて色々なものがいると。
それで、交差点にまつわる話で、こんな話があるんです。
ある若い男の子。
この男の子は、色々な事がうまくいかなくて、いつもむしゃくしゃしていたんですね。
そんなストレスの発散方法の一つとして、道で人とすれ違う時に、
お金持ちっぽかったり、身なりがよかったりすると、心の中で(バン!)と銃を撃つんです。
そうすると、心のむしゃくしゃが少しとれるようで、そんな事をいつもやっていたんです。
でも、そんな彼の中にも、一つだけルールがあって、
自分よりも弱い、子供や女の人は撃たない。
お金持ちそうな人、なんだかいけ好かない男の人だけ撃つって決めていたんです。
それでそんなある日─
渋谷のスクランブル交差点。
人がたくさんいますから、彼にとっては格好の場所なんですよ。
すると、目の前から、自分がターゲットにしているような男の人が歩いてくるんです。
黒いスーツを着て、ビシッときめていて、ハットなんかを被っていたりして。
(なんだあいつ…気に食わないな)
それでいつも通りすれ違う瞬間に、
(バン!)と撃とうとしたんです。
撃とうとしたその瞬間…
急にその男性がこっちを見て、(バン!)と撃ってきたんだそうです。
そしてニヤっと笑って、スーっと消えていったんです。
振り返るとその男性の姿はどこにも無い。
一体その男の人は、何者だったんでしょうか?