呪いの携帯電話 - 大輪教授

皆さんは携帯電話を拾ったことがありますか?
私はもしも拾ったならば警察に届けるというのをおすすめしたいんですが、
この話は私の友達が携帯電話を拾って、ちょっと下心を出しちゃったって話です。

知り合いは夜に携帯電話を拾ったんです。
ピンクの携帯電話で、デコレーションがしてあって、ストラップもジャラジャラとついている。
すぐに女の子の携帯だと思った。

携帯の裏側を見るとプリクラが貼ってあって、女の子が二人で写っている。
それが結構可愛い子なんですね。
しばらくすると案の定着信がある。
非通知設定。
出てみるとその子だった。

「あの、もしもし。携帯を今落としちゃって困っているんですよ」

どうやら後ろの方にも女の子が居るようで「良かったね繋がって」なんて会話が携帯越しに聴こえてくる。

「この携帯電話、どうしたらいいですか?」
「あの、私達動けない状態で困っているんです」
「じゃあ僕届けますよ」

なんて相手が女の子だから調子のいいことを言ってた。

「コンビニ見えますか?」と相手が言う指示に従ってコンビニまで行く。
「そこから国道見えますか?」
「あっ、国道ですね。はいはい、わかります」
「それで、国道から2つ目の横断歩道に居ます」
「分かりました、じゃあそこに行きます」

電話越しに何かぺちゃくちゃ喋っているのが聴こえる。

「この人にも来てもらおうよ」
「そうだね、いいねいいね。来てもらおう」
そんな会話が聴こえてくる。

なんだろうなぁと思っていると、電話越しに
「ちょっと急いでもらっていいですか?」と頼まれた。
「あっ、分かりました」と返して小走りで横断歩道に向かう。

「もっともっと急いでください」
なんだろうなぁと思うんだけど、言われるままにもう少し急ぐ。

「早く来てください」
しょうがないから走り始めた。

走り始めたら、足がもつれてバタンと倒れてしまった。
その瞬間、


ドン!!


目の前をトラックが突っ込んできて事故を起こした。
危ないところだったんです。
転んでいなかったらトラックに轢かれているところだった。

あぁ参ったな、えらいことになったなと思いながら手元を見ると、
転んだ衝撃か、携帯電話が壊れていたんです。
しかし壊れた携帯電話から声が聴こえてくる。

「こっちに来てちゃんと届けてくださいよ」
何を言っているんだろうと思いながら目の前を見ると、ガードレールの下に花束が二つ置いてあったんです。
その事故に遭っていた女の子から、携帯に電話がかかっていたんですよね。

もしも携帯電話を拾ったら、ちゃんと警察に届けることをおすすめします。

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