霊感が無いのにあるふりをすると… - 島田秀平


絶対にやってはいけない事があります。
それは、霊感がないのにあるふりをする事。

ある霊能力者の方に聞いたんですが、霊が一番怒る事らしいんです。
ある大学生の女の子で、霊感がないのに霊感があるふりをする女の子がいたそうです。
サークルでみんなでキャンプに行った時も、みんなが集まってその子が怪談の話をしたそうです。

「やあ、この前こんな事があってね…」
その女の子は霊感があるように話しをするんです。

そしてその彼女は盛り上がってくると決まってこうやって言うんです。
「でもさ、こういう話をしてると、集まってきちゃうんだよね」と。

「えーやめてよ!」
「やばいよ…今日もそこに集まってきているよ」
「え!?」
全く見えていないのに、彼女はまた嘘をついたんです。

「きてるよ!そこ来てる!!!! あの森の木陰の中から…男の霊がずっとこっちを睨んでる。あそこやばいね…」
そういうと、みんなが悲鳴をあげるんです。
それをまた面白がって見ている彼女。

「大丈夫大丈夫。わたしがお祓いしてあげるから」
霊感がないのに、見えてもいないのに、勝手な事を言うんです。

ひとしきり盛り上がって、みんなが自分のテントに戻ろうと準備をしていると、
その彼女のところへ一人の女の子が走り寄ってきたんです。

その女の子は仲はよくないんですけど、さっき端っこで自分の怪談を聞いていたなあと。
「どうしたの?」と聞きながら、その女の子の顔を見ると、すごく怒った顔をしているんです。

そして一言こういうんです。
「あなた、霊感なんてないでしょう?」

彼女はぎくっとしたんですが、認めるわけにはいかないんで、
「何言ってるのよ? あるわよ!」と言ったんです。

「ううん。絶対にない」
「いや、あるわよ。何言ってるのよ? なんでそう思うのよ?」

聞いたら彼女は、こう言ったそうです。
「だって、あなたはさっきあの木陰から男の霊がこっちを見ているって言ったでしょう?そんな霊はいなかったもん。」

(うああ…本当に霊感のある見える人がいるんだ…)
でも認めるわけにはいかないんで

「でも、いたもん!男の霊がいたもん!」
と言うと、その女の子は、こう言うんです。

「だから、男の霊なんていなかったって。いたのは女の霊だもん。」
そして続けて言うんです。

「その女の霊、あなたの事をすごい形相で睨んで…『嘘つき嘘つき…嘘つき』ってずっと怒っていたから。
 本当に気をつけてね。その女の霊は、あなたについていく事に決めたそうだから。
 今も、あなたの腰にしがみついているよ。」

その夜、その嘘をついた女の子はテントで眠れないですよね。 
(どうしよう…どうしよう…
 今まで自分が軽はずみに霊が見えるなんて言ってたばっかりに…霊を怒らせてしまったんだ…
 翌日、みんなに謝ろう。
 そしてあの女の子に謝ろう)

そして翌日になって友達に聞いたんです。あの女の子はどこ?って。
そうしたら友達は口を揃えて、こう言ったそうです。

『そんな女の子は知らないよ』と。

みなさんくれぐれも霊感がないんであれば、あるふりはしないで下さい。

前の話へ

次の話へ