蒲田の加藤さん - 仙頭正教

月間裏モノJAPAN編集部の仙頭と申します。
月間裏モノJAPANというのはその名の通り世の中の裏である風俗であったり、犯罪、ナンパ等をテーマにしている雑誌なんです。
そういうものを扱っているから、ちょっと変わった方からのネタ提供がよくあります。

いきなり夜に編集部に電話がかかってきて、「覚醒剤売っているところ知らない?」という電話がかかってきたりして。
僕たちはもちろん適当に断るんですけども、するといきなり怒り出したりする人もいて。
そういったおかしな電話なんかがよくあるんです。

今回はそんな中でも歴代一番におかしかった人の話をします。

その人は蒲田の加藤さんというおっさんで、最初に申し上げるとその人は私たち編集部員二名を殺害しようとした人なんです。
きっかけからお話をします。

ある日の夜三時くらいに私が編集部で仕事をしていると、電話がかかってきました。
ネタ投稿の電話です。

話を聴いてみると、街で不当に職務質問をされて勾留されたという話なんですけども、よく聴いてみると彼は酔っ払っているし何ならもう時間も三時ですから、私からしても勘弁してくれよという感じだったんです。
丁重にお断りしたつもりだったんですけども、どこで機嫌を損ねてしまったのか、

「何が裏モノJAPANだ、殺すぞ」

でもそういうことは何回も経験してますし、鬱陶しいので電話を切ったんです。
そうすると翌日からいたずらがひどくなりまして。

宅配のピザやお寿司が編集部名義でたくさん届くようになったんです。
何なら航空機なんかも黙って取られたりしたんです。

そういうのが何度も続きますと当然私たちもイライラしてきて、着信履歴に電話番号が載っていたのであまり良いことではないんですが、そこから住所を割り出したんです。
そうすると蒲田のある団地に住んでいることが分かりました。
そして私とある先輩社員の二人でそこに行ってみようという話になったんです。
一回彼に着信して「今から行きますよ」と伝えて行こうと思ったんですが、電話に出なかったのでそのまま行ってみたんです。

時間は夜七時くらい。
団地は外に廊下があるようなタイプの建物で五階だったんで外階段を上がっていって、ピンポンとチャイムを鳴らしたんです。
そして「裏モノJAPANです」と伝えると、「何だお前ら、なに人の住所を割っているんだ、殺すぞ」と言ってきたんです。

「とにかくお話しましょう、外でお話しましょう」と待っているとドアが開いて包丁をバッと出されたんです。
僕は腰が抜けてしまったんですけどももう一人の先輩の方に、外の廊下を追いかけていったんです。
先輩の方は階段の方まで逃げていって、そこで彼は逃げ切ったんですけども、次はクルッと振り向いて私の方に向かってくるんです。

僕は腰が抜けてしまっていたのでその場で「ごめんなさいごめんなさい加藤さん」と叫びました。
そしたら加藤さんが「お前殺してやるからな!」と言ってドアを閉めて自分の部屋の中に入っていったんです。

殺そう殺そうと言っている人は結局殺さないんだなとぼんやり思いながら、もう変な人を弄るのはやめよう、転職を考えようかなと思った夜の出来事でした。

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