三階建の廃病院 - 島田秀平
愛知県出身の後輩から聞いた話なんですが、愛知県の方に有名な心霊スポットになっている廃病院があるそうなんです。
そこはもう何年も前に営業を停止している廃病院で、ボロボロの三階建ての建物なんですって。
ここはもちろんそういう心霊スポットとしては有名なので夏に若者が肝試しに行ったりするそうなんですが、一つ絶対にやってはいけないことがあるそうなんです。
そのやってはいけないというのは三階建の三階には絶対に登ってはいけないという話なんです。
三階に登ると呪われると。
そんなある夏の日、後輩たちはそこの廃病院へ心霊スポット探検に行ったそうなんです。
昼間見ても何ともないボロボロの廃墟なんですが、やっぱり夜になって集まって行ってみるとすごく雰囲気があるというか、異様な雰囲気がするんですって。
鬱蒼とした木々が周りには生い茂り、その奥にそびえる病院はまるでお城のように見えたそうです。
後輩たちは懐中電灯を持って門のところまで来てそこを入り、玄関まで来たんです。
そして玄関から中に入り、懐中電灯を上に向けた瞬間、全員思わず「うわっ」と声を上げてしまったそうです。
玄関を入ったすぐのところに赤いスプレーかペンキで書いたんでしょうね。
『私の死体はこちら↑』
その赤い文字は血で書いたように見えたそうです。
「やばい、これはやばいよ」という話になったんですが、皆で勇気を絞って、せっかく来たんですから奥に進むことにしたんです。
しばらく進むとまたその文字はあるんです。
『私の死体はこちら↑』
どうもその書いてある文字は二階の方に誘導しているようなんです。
「行ってみようか」
「行くしかないだろ」
恐る恐る階段を登っていくとまた文字があるんです。
『私の死体はこちら↑』
そして今度はこの文字は三階の方を指しているんです。
「三階はやばいだろ・・・三階に行ったら呪われるんだろ?」
「これやばいけど、でもせっかく来たんだし最後まで結果見たくない?」
そうして後輩たちは三階に登っていくことに決めたんです。
三階に登りきった瞬間、皆が後悔したそうです。
三階に登ってすぐのところにまたすぐ文字が書いてあったそうなんですけど、今までの文字とは様子が変わっていたそうです。
『私の上半身はこちら→』
そしてその横に
『←私の下半身はこちら』
「これはやばいよ。
バラバラ遺体なんてやばいよ」
やっぱり怖いなという話にはなったんですけど、怖いもの見たさですよね。
この結末を見届けたいという。
そして上半身はやっぱり怖いということで、下半身の方に進むことにしたんです。
左側に進んでいくと奥の方に手術室が見えたそうです。
「あの中に下半身があるのかな・・・」
「怖いけどさ、行ってみようよ」
そして勇気を振り絞りながら皆でくっつきながら進んでオペ室のドアを開けたんです。
中は何だか息苦しくて、カビ臭い匂いが充満しています。
一見何もなさそうに見えるんですが、懐中電灯で奥の壁を照らした時、そこにはこう書いてあったんです。
『私の下半身はここ→』
そしてここと書いてある場所にはロッカーがあったそうです。
「どうする?」
「あるか分からないけど、ロッカーだけ開けて帰ろうよ」
ロッカーの前まで来て、皆でせーのでドアを開けたんです。
でもそこには何も入っていなかったんです。
「何だよこれ、ただのいたずらじゃん」
皆がホッとした瞬間、ロッカーの中をよく照らしてみるとこう書いてあったそうです。
『私の上半身がこちらに向かっています』
皆でその場を一目散に逃げたそうです。
そのままそこに居たら上半身が追いかけてきて呪われていたのかもしれませんね。