ホテル - 島田秀平

皆さんも便利なんでホテルをよく利用されると思うんですが、僕も出張なんかでよくホテルを利用するんですね。
今これをまさにホテルで聴いてくださっている方もいらっしゃるかもしれません。
ホテルは沢山の人が毎日利用しているので、この部屋なんだか気持ち悪いなっていう部屋があったりしますよね。
よくある話ですけども、ホテルに入ったらまず額縁を確認しろって話がありますよね。
良くない部屋には裏に御札が貼ってある なんてことがね。

それからこれは知り合いの方に聴いたんですけども、その方はホテルで働いている方なんです。
その方が働いているホテルというのは以前六階であまり良くないことがあって、六階を封鎖してしまっているホテルなんです。
エレベーターも六階は止まらないように設定していたそうです。

その方がある時フロントで何気なくエレベーターのカメラを見ていると、エレベーターが急にスーッと動き出したそうなんです。
お客様が降りてくるのかなと思って何気なくまた見ていると、そのエレベーターは上に上がっていって、六階に止まったんです。

六階は封鎖しているから止まるはずがないんです。
でもエレベーターは明らかに六階で止まっている。
六階で止まったエレベーターは、今度は五階、四階、三階と降りていきます。
そしてロビーがある階に止まってパンと扉が開く。
けれどそこには誰も乗っていなかったそうです。

一体そのエレベーターは誰が利用したんでしょうか。

ホテルというと、こんな話もあります。
ある男性が出張でホテルを利用したんです。
もう疲れていて早く寝たいなと思いながらホテルの部屋に入ったんです。
部屋はいわゆる普通のシングルの部屋です。
入って右側にはお風呂やトイレなんかがあって、奥に行くとベットがあって、左側にテレビや机なんかがある作りなんですね。

その方は疲れていたんですぐに寝たかったんです。
だから部屋に入ったらすぐに横になって目を閉じたんです。

その瞬間、横の部屋から ダンッ ダンッ ダンッ とすごい勢いで壁を叩かれるんです。

(なんなんだよ、こっちは早く寝たいのに迷惑だな・・・)

しばらくは我慢したんですけども、全然音は止まないんです。

ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ

もうフロントに電話しようと思い、その人はフロントに電話をかけたんです。

「横の部屋がドンドンとすごい壁を叩いてくるんですが、いい加減にしてもらいたいんで何とかしてください」

「分かりました、すぐにお伝えするようにいたします」

しばらくすると音は止んだんです。
あーよかったなと思ったのもつかの間、またすぐにドンドンと音がするんです。

(なんなんだよ、勘弁してくれよ)

またフロントに電話をしたんです。

「ちょっと、ちゃんと隣の部屋の人に言ったの?
 音がぜんぜん止まないんだけど」

そうしたらフロントの方はこう言ったそうです。

「お客様、そんな音はするはずがないんです」

「いや、こっちは音が聞こえているんですよ」

「そんなはずはないです。
 お客様の隣の部屋は誰も泊まっていないんですから」

「いや、ベット側じゃないんだよ、テレビ側の方からドンドンと音がするんだよ」

「お客様、音がするわけがないんです。
 だってお客様が泊まっている部屋は三階の角部屋なんですから」

最初は気が付かなかったんですが、テレビの裏側に何か扉のようなものがあるのに気がついたんです。
明らかにテレビで隠しているような感じなんですね。
なんだろうと思って見てみると、そこに窓があったんです。

その窓を恐る恐る開けてみると、下にはお墓が広がっていたそうです。
彼はこの世のものではない人から、ずっと壁を叩かれていたんでしょう。

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