ウナギを食べない理由?
民法のテレビ局のカメラマンで親しい人なんですよ。
この人ウナギが食べられないんですよ。見るのもダメ。
勿体ないですよね。うな重なんて美味しいじゃないですか?
である時に、「なんでウナギ苦手なんです?」って聞いたんです。
そしたら、「淳ちゃん、これには訳があるんだよ」って言うんです。
彼、生まれが漁師町なんですよね。
それでこの人が小学生の頃に大シケがあったそうですよ。
それが続いたもんだから、みんな漁に出れないわけだ。
もちろん街のほうも大変な嵐で吹き荒れているような状況で。
そんな中地元の漁師さん二人が酒を飲みに行ってたそうなんです。
漁にも行けないから暇だったんでしょうね。
風の強い日ですよ。大シケですから。
さんざん飲んで、フラフラフラフラちょうど船着場のあたりを歩いていたそうですよ。
まあ、それも定かではないんですよ?
それで風に吹かれたもんなのか、足をとられたのか、そのまま海の中に落っこちちゃったんだ。
慌ててみんな探したんですが、嵐の去った後ですから時間も経っちゃってるんですよ。
長老に言わせたら、「もう沖にもっていかれちゃってるな…」って事だったんですが、
とうとう死体はあがらないままだったんですね。でまあ、葬式も済んじゃった。
そんな事のあったある日なんですがね。その日は天気もとってもよかった。
で、私の友人のカメラマン。当時は小学生ですからね。
友達と二人ではしゃぎながら、冗談言いながら、その船着場をずっと歩いてきてたの。
と、後ろのほうでカポッ、カポカポッって音がした。
何かが水から浮き上がったような音。
後ろを振り返ったらば、船着場の間の海の間から突然ガボッと骸骨が現れた。服を着てるんだ。
(えぇぇ…)って思ってると、その骸骨の目玉の黒い穴の部分から、
にょきっとウナギが現れて、骸骨に貼り付くように動きながら消えたそうなんですよ。
その時に、(ああ…絶対このウナギこの人を食ってるんだ…)って思ったって言うんですよね。
「淳ちゃん…俺それ見てからウナギ食えねえんだよ…」って言ってましたよね。