廿日市女子高生殺人事件

事件の概要

2004年10月5日15時頃─ 北口忠さん宅(広島県廿日市市上平良)で、自宅離れの2階に一人で居た、県立廿日市高校2年の長女・「北口聡美さん」(当時17歳)が、侵入してきた若い男に刃物で首や左胸ほか10ヵ所近くを刺され出血多量で死亡した。 聡美さんは一階玄関近くにある階段上り口で、普段着姿のままあおむけで倒れており着衣に乱れはなかった。血痕は現場付近と階段の途中まで確認されているが、狭い範囲でとどまっており、犯行現場は一階とみられている。離れの玄関には大量の血痕が残され、階段付近には男が2階に上がったと見られる足跡があったことから、逃げる聡美さんを玄関付近まで追いかけて刺したと見られている。聡美さんは顔に殴られた跡もなく、また部屋には争ったり物色されたりした形跡もない。聡美さんの財布も残されていた。 この日は午前中のテストだけで授業が終わり、午後には帰宅していたという聡美さん。帰宅後、家族に「少し寝るから、午後四時に起こして」と告げ自室に向かっている。夕方のクリーニング店のアルバイトへ行くまで一休みする為だ。部屋の枕元のミニコンポに接続されていたイヤホンが外れている事から、音楽を聞きながら仮眠をとっていた聡美さんが、何らかの理由で慌ててベッドを離れたことがうかがえる。 母屋で聡美さんの小学6年の妹と一緒にいた祖母のミチヨさん(82)は、離れから悲鳴とともに階段を駆け下りる音を聞いた。悲鳴を聞いた祖母らが駆けつけると、離れ1階で犯人の男と鉢合わせになった。男はそのまま祖母にも襲いかかり、背中や腹を10ヵ所ほど刺しその後逃走。祖母と一緒に母屋にいた妹は、「助けて、助けて」と言って自宅から約30mの園芸店に裸足で駆け込み、「若い知らない人にお姉ちゃんが刺された」と助けを求めた。 なお、ミチヨさんは一時は意識不明の重体となったが、その後幸いにも回復。また後の調べで、ミチヨさんは10ヵ所以上刺されながらも自力で母屋で戻り、犯人が入ってこないように鍵を締めてから、警察へ一番はじめに通報していた事がわかった。 廿日市署捜査本部はこれまでに延べ20万4400人以上の捜査員を投入し、聡美さんと接点のあった人物や不審者などを捜査。 当初は残忍で異様な手口から怨恨による顔見知りの犯行という見方が有力だったが、聡美さんに抵抗した傷がないことなどから、警察では物盗りやストーカーなどの可能性も視野にいれた捜査を行っている。 しかし時間の経過とともに、寄せられる情報は少なくなり、捜査は未だ未解決のままである。

犯人像

この日の定期試験は、2年生だけ日程が前倒しで行われ、聡美さんは普段とは違う時間帯に自宅にいた。そして同じ敷地内に母屋と別棟、離れが建つ古い民家の一室を狙って侵入していることに捜査本部は着目している。現場は市中心部から北西に約1キロ。主要幹線道路の国道2号に接続する国道433号沿いにあり、交通量は多い。近年は宅地化が進んでいるが、事件当時は田畑も多く、住民以外が目的もなく立ち寄るような場所はなかった。ある捜査員は「全く土地勘がなく、通りがかりで犯行に及んだ感じはしない。ある程度、聡美さんのことを知っていた可能性もある」と語っている。

携帯電話に残る◯君の存在

聡美さんの遺品は、警察が捜査のために一時的に預かっていたが、後にそのほとんどが返却されている。しかし、携帯電話だけは返却されていない。 聡美さんの携帯電話には、何らかの関係があると思われながらも、身元のわからない男性2人の名前が登録されていた。聡美さんの交友範囲は高校・小学校時代から通う学習塾・夏に始めたアルバイトのクリーニング店位の非常に狭いものであったが、この名前に家族も友人も心当たりがなかった。。この人物は「○くん」と言う敬称から、同世代の男性であると思われているが、未だ身元の確認はとれていない。

犯人の特徴

・年齢 20歳位 ・身長 165cm位 ・体格 がっちり型 ・目が細い,当時は髪を立たせており,若干茶髪,頬にニキビ様の跡 ・犯人が履いていた靴は DUNLOP製運動靴,約26~27cm ※下部にある関連画像の項を参照

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●2004年10月6日付「産経新聞」 広島県廿日市市の県立廿日市高校二年、北口聡美さん(一七)と祖母のミチヨさん(七二)が離れに侵入した男に襲われ、聡美さんが刺殺され、ミチヨさんが重体となった事件で、男を目撃した小学六年の妹(一二)が「知らない人だった」と話していることが六日、分かった。県警捜査本部は窃盗目的の居直りとえん恨の両面で捜査を進めている。これまでの調べでは、現場の離れの一階と二階には、物色されたような顕著な痕跡はなかった。県警は被害がなかったかどうか、さらに詳しく調べている。 聡美さんは一階玄関近くにある階段上り口で、普段着姿のままあおむけで倒れていた。着衣に乱れはなかった。血痕は現場付近と階段の途中まで確認されているが、狭い範囲でとどまっており、犯行現場は一階とみられている。聡美さんの部屋は二階で、犯行当日は「少し寝るから、午後四時に起こして」と妹らに伝えていることから、捜査本部は犯行時間の午後三時ごろは二階の自室で寝ていたとみており、就寝中、何らかの理由で一階に下りてきたところを襲われた可能性もあるとみている。県警は、被害品の有無や、聡美さんの交友関係などについて調べを進めるとともに、一階の土間では男のものとみられるスニーカーの足跡が見つかっていることから、捜査本部はサイズやメーカーの特定を急いでいる。県警は同日午前九時から、現場検証を行った。ミチヨさんの友人の女性(七二)は「二十六日に家を訪ね一緒にお茶を飲んだばかりだったのに…」と、重体のミチヨさんを気遣った。      ◇ ≪全校集会で黙祷 「悲しみと怒り」≫ 北口聡美さん(一七)が通っていた広島県廿日市市の県立廿日市高校では六日、全校集会が開かれ、前原幸三校長が事件の概要について説明した。この日は朝から教諭十数人が正門や学校周辺に立ち、生徒の登校を見守った。体育館で開かれた全校集会では、前原校長が「北口さんの大学進学する夢がかなえられなくなり、悲しく怒りを感じている。北口さんの思いを大事にしてほしい」と話した後、全員で黙祷。女子生徒らが声を押し殺して泣いていたという。集会後、各クラスでホームルームを開き、二時限目から通常授業に戻った。聡美さんと同じ二年生は期末試験を受けた。集会後、記者会見した前原校長は「生徒に動揺が広がらないように努めたい」と話した。また、同市教委は容疑者が逃走していることから、市内の市立小・中学校計二十三校に、保護者同伴や集団での登校を呼びかけた。 ●2010年10月2日付「産経新聞」─ 廿日市女子高生殺害6年 父親、情報提供求め会見 広島 ■「家族の一番嫌な日早期事件解決願う」 平成16年10月、廿日市市の高校2年、北口聡美さん=当時(17)=が自宅に侵入した男に刺殺された事件が、5日で発生から 6年を迎えるのを前に、1日、聡美さんの父親・忠さん(53)が、広島市中区の広島YMCAで記者会見し、事件に関する情報提供を呼びかけた。 聡美さんは、16年10月5日午後、自宅の離れで首などを刺されて倒れているのを祖母らが発見。祖母も現場にいた若い男に刺され、 一時重体となった。男はそのまま逃走した。会見で忠さんは、事件発生から6年を迎えるに当たり、「10月5日は私たち家族にとって一番嫌な日 。1日、1時間でも早く事件解決を願う気持ちは6年前から変わらない。娘には、できれば事件発生せず今も元気でいてほしかった」と話し、 ただ捕まっていない犯人に対しては「とことん逃げるつもりなら、とことん追いつめてやるという気持ちだけです」と語気を強めた。 忠さんは事件後、自ら事件の情報を集めようと、各地での講演活動や、インターネット上のブログ「SA・TO・MI~娘への想い~」で情報提供を 呼びかけてきた。忠さんは「情報を提供することはすごく勇気が要ることだと思うが、何が事件解決の糸口になるか分からない。匿名でもいい。 どんな些(さ)細(さい)な情報でもいいので寄せてほしい」と呼びかけた。 情報提供は廿日市署((電)0829・31・0110)、北口忠さんのメールアドレス(npo-friends@mail.goo.ne.jp)へ。 ●2012年8月11日付「中国新聞」─ 女子高生殺害の情報求む 2004年10月に廿日市市上平良の高校2年北口聡美さん=当時(17)=が殺害された事件で廿日市署は10日、お盆に帰省する若者たちからの情報提供を目的に、チラシの配布を始めた。 管内の交番と駐在所全10カ所の署員たちが民家や商店を訪問。犯人の似顔絵入りのチラシを手渡し「当時を思い起こして」などと呼び掛けた。受け取った主婦(66)は「事件を風化させないよう 近所で話題にする」と応えていた。 チラシは約5千枚を用意し、17日まで配る。町内会などを通じ、地域の掲示板や回覧板を使って周知を図る。 同署には今年1~7月に約250件の情報提供があった。同署は「必ず犯人を逮捕するという 強い思いで捜査を続けている。さらに多くの情報をお願いしたい」としている。 ●2013年12月20日付「産経ニュース」 家庭では妹と弟の面倒をよくみるしっかり者だったが、学校では「天然ぼけ」のキャラクターで愛されていた聡美さん。数学が得意で、4年制大学の理系学部への進学を希望していた。 「家から通える範囲にある大学ならいいよ」という家族に、「そろそろ志望校を決めないとね」と話していた。事件が起きなければ、翌週から企業訪問が日程に組み込まれた東京への研修旅行に参加することになっていた。研修旅行では初めて東京ディズニーランドに行く予定で、仲良しの友人グループで「何を見ようか」「どのルートで園内を回ろうか」と想像を膨らませていた。自宅でもインターネットで情報を集め、楽しみにしている様子だったという。事件から9年余が経過した今も、聡美さんの墓には多くの友人らが訪れる。今夏、父の忠さん(56)は、聡美さんの好物だったミルクティーが供えられた墓前で「ご両親へ」と書かれた手紙が置いてあるのを見つけた。親友の女性からの結婚報告だった。「娘が生きていれば26歳。仕事にもようやく慣れて、そろそろ結婚を考える時期だったかもしれない」。忠さんは大人になった友人にまな娘の姿を重ねようとするが、その笑顔はあどけない17歳のままだ。事件を風化させず、犯人に関する情報を得るきっかけになればと、忠さんは事件から約1年後、インターネット上にブログ「SA・TO・MI~娘への想い~」を開設。毎日のように内容を更新、聡美さんの思い出や日々の出来事などをつづる。 ブログに記載しているメールアドレスには1年に10~15件の情報が届き、捜査本部にも伝えている。「事件解決のため、とにかく情報がほしい。今まで話していないことがあれば、どんなに小さなことでも構わないので教えてもらいたい」。悲しみを胸に秘めた忠さんの訴えが重く響いた。

2015.06.12放送 金曜プレミアム・最強FBI緊急捜査SP日本未解決事件完全プロファイル

■ 安全な自宅で殺された女子高生 聡美さんは胸や首などを十箇所以上を刺され、殺害されたのだ。 この事件で犯人の足跡や指紋、目撃者による似顔絵等、多くの重要証拠が残された。 しかし事件は発生から11年、今も未解決のまま。 何故これだけの証拠がありながら犯人逮捕に至らないのか。 不可解な未解決事件を最強プロファイラーがプリファイリングする。 2004年10月5日火曜日。 広島県廿日市市上平良 凄惨な舞台の事件は広島市の西隣にある廿日市市。 2004年10月5日、この日聡美さんは試験のため、普段より三時間ほど早く下校していた。 午後一時過ぎ。 両親は仕事に出ていて自宅には祖母と小学生の妹だけ。 聡美さんは夕方五時からのアルバイトに備え一旦離れにある自分の部屋へと向かった。 自宅は母屋と離れに別れていて、離れの一階は物置、そして二階が聡美さんの部屋だった。 午後三時過ぎ。 離れから悲鳴が聞こえた直後、祖母と妹は離れへと駆けつけた。 そして玄関を開けたその時、目に飛び込んできたのは血だらけで倒れている聡美さんと刃物を持つ男の姿。 二人に気がついた男は刃物を振りかざし、襲いかかってきたのだ。 祖母を十箇所以上刺し、男は逃走した。 深い傷を負いながらも祖母は母屋へと戻り、警察へと通報。 その直後に意識を失った。 妹は自宅から五十メートルほど離れた園芸店へと飛び込み、 「刺された! お姉ちゃんが刺された!」 と、何度も繰り返したという。 聡美さんと祖母、二人共十箇所以上も刺された極めて残忍な犯行である。 祖母は幸いにも一命を取り留めた。 だが逃走した男が道路のある右側に逃げたのか、畑のある左側へ向かったのか、目撃情報は一件も無かった。 だが犯人の男は現場に様々な手がかりを残していた。 一つ目は靴跡。 履いていた靴が特定された。 スニーカーでメーカーが判明し、そのサイズは26~27と詳細だった。 更に現場から指紋も採取された。 そしてもっとも重要な手がかり、それは祖母と妹が犯人の顔を目撃していたことである。 これが証言を元に作られた男の似顔絵。 年齢は二十歳くらい。 頬にはニキビの跡。 ツンツンと立った髪の毛。 身長は165センチくらい。 小柄でガッチリ型。 そして一番の特徴は、細く鋭い目。 スニーカー、指紋、ニキビ跡の顔。 男の逮捕に繋がる重要証拠が警察の手の中にあった。 事件は早期解決が予想された。 だがこれだけの証拠が残りながらも、男の逮捕には至らなかった。 この憎き犯人によって白昼堂々聡美さんの未来と家族の生活は奪われた。 --- ■殺された聡美さんの父 北口忠さんの話 年月が経ったからと言って、傷が癒やされるということは全く無く、逆に何も出来ない自分がずっと時を過ごすということは、逆に時が過ぎれば過ぎるほど辛く感じるときもある。 事件を思い出すだけで身を切るような辛い思いが蘇る。 (いつしか家族ですら事件のことは一切話さなくなったという) 証拠が色々と残っているからこの事件はすぐに解決しますよと言われて・・・。 --- だが発生から十一年。 三百万円の懸賞金が掛けられたが、有力な情報は無く、事件は風化しようとしている。 謎を解く鍵は離れの二階。 ここが聡美さんの部屋だったことを知るものは多くなかった。 にも関わらず、犯人は祖母と妹が居る母屋ではなく、最初から聡美さんの居る離れへと侵入した。 やはり犯人の目的は聡美さんだったのか? 警察はおよそ四万人の関係者に事情を聴いたものの、聡美さんに恨みを持つ人物は見つからなかった。 数々の手がかりを残しながら、未解決のまま十一年もの年月が過ぎたこの事件。 この事件に最強FBIが立ち向かう。 ■自宅で殺害された被害者 祖母と妹はすぐ目の前で犯人と遭遇し一生忘れ得ぬその特徴を目に焼き付けました。 身長は165センチ位。体系はガッチリ型。 服装は黒っぽいもの。 そして顔はニキビの跡が目立ち、髪はツンと立っている。 年齢は二十歳くらい。 これが十七歳の少女の命を奪った犯人です。 我々は新たな犯人像へ迫るべく、元FBI行動心理分析室、通称BAUに捜査を依頼。 謎に満ちた未解決事件をプロファイリングしました。 一体犯人は何者で、何処に潜んでいるのか。 残忍な殺人事件を解決すべく、スタッフはアメリカ バージニアにあるジョージ・メイソン大学で犯罪学を教えている元FBI捜査官の元を訪れた。 元FBI行動心理分析室(BAU)特別捜査官 メアリー・オトゥール博士。 テレビドラマにも登場しているBAU。 BAUとは、犯人像を分析するプロファイリングチームのことである。 だがそもそもプロファイリングとは一体何のことなんだろうか。 オトゥール氏 「プロファイリングとは数ある捜査手法の一つで、犯行現場の状況を分析し、犯人像を明確にする操作手法のことです。  と同時に被害者の置かれた状況もあらゆる角度から分析し、被害者の目を通して犯人に迫るのです」 オトゥール氏がBAUに在籍した十四年(FBI全在籍期間は二十八年)の間にプロファイリングした事件の数はアメリカを震撼させた大事件が並ぶ。 最も有名なのは、1982年から2001年にかけて起こった全米最多109人の女性を殺害した通称グリーンリバー殺人事件。 犯人はおよそ二十年間に渡り、アメリカやカナダで女性を殺し続けた。 オトゥール氏達は犯人の行動分析を重ね、2001年11月、残虐な殺人犯ゲイリー・リッチウェイの逮捕へ至った。 この男が109人もの女性を殺した犯人だ。 今も彼女の捜査分析は高く評価され、全米で犯罪分析を行っている。 私達はそんな彼女に北口聡美さんが殺害された事件のプロファイリングを依頼したのである。 すると、オトゥール氏は私達に驚くべき計画を告げた。 オトゥール氏 「実はこの事件を解決するために私は自分のBAUを作りました。  そこに行動科学や鑑識の専門家を集めて事件を分析していきたいと思っています」 なんとオトゥール氏は事件を解決するために、大学の専門スタッフを集め、BAUチームを結成したと言うのだ。 叡智を集結し、事件の解決へと迫る。 オトゥール氏 「事件が未解決のまま十年が経過して、ご家族は今も悲しみの癒えない日々を送っていると思います。  私はプロファイラーとしての知識と経験を活かし、聡美さんとご家族のために犯人を見つけ出し、正義の報いを受けさせたいと思います」 早速メンバーを紹介するというオトゥール氏。 スタッフはメンバーの待つ研究室へと案内された。 オトゥール氏 「このメンバーが私の作った行動科学の専門家によるBAUメンバーです。  彼は私と同じBAUに居ました」 まず紹介されたのがBAUで同僚だった元FBI行動分析室(BAU)特別捜査官トーマス・ニア氏。 その現役時代にはトレーラーハウスの中に拷問室を作り、六十人以上もを暴行・虐殺したデヴィット・パーカー・レイ事件など、猟奇性の高い事件をプロファイリングするのを得意としている。 被害者学にも精通しているニア氏。 通常の捜査では何故犯罪が起きたのかを究明する犯罪学から捜査を行うが、一方被害者学とは、被害者の性格や生活環境から何故犯罪に巻き込まれたのかを読み解き、原因を解明するものである。 ニア氏はこの被害者学の権威でもあるのである。 更にジョージ・メイソン大学の科学学部からも各分野の精鋭たちが顔を揃えた。 科学学部法科学プログラム教授 鑑識科学捜査専門 キム・ルール教授。 科学学部法科学プログラム教授 鑑識科学捜査専門 エミリー・ランコート教授。 科学学部法科学プログラム教授 法医学DNA専門 ケリー・ナイト教授。 科学学部法科学プログラム博士 化学専門 キャサリン・ペディグルー博士。 このメンバーが北口聡美さん事件解決のためのBAUメンバーだ。 早速スタッフが事件の概要を記した資料をメンバーへと渡す。 真剣な表情で資料に目を通すBAUメンバー達。 そこは本物のBAU作戦室同様、張り詰めた緊張感で満ちていた。 だが数分後、オトゥール氏から厳しい一言が飛び出した。 オトゥール氏 「正直に言って、プロファイリングするには不安になるくらい情報が不足しています」 プロファイリングするには日本での再捜査が必要であるというオトゥール氏。 ニア氏 「出来れば警察か、捜査関係者に話を聞けるといいんだけども。  そうすれば私の経験が活かせるからね」 スタッフ 「ではトムさん、一緒に日本に来ていただいてもよろしいでしょうか」 ニア氏 「喜んで行きましょう」 こうしてトム・ニア氏自らが日本へと行き、更に情報収集をすることになった。 ついに最強FBIの捜査が始まった。 ■捜査一日目 現場検証 ニア氏は早速広島に向かった。 既にニア氏は米国内で事前に事件資料に目を通し、事件概要を熟知している。 プロファイラーに取って、何よりも重要なのは事件現場であるとニア氏は言う。 ニア氏 「どういう場所で事件が起こったのか、感触を掴みたいのでまず事件現場に向かってほしい」 捜査初日は何故犯罪が起こったのかという犯罪学的アプローチで捜査を進める。 事件が起こった聡美さん自宅周辺へと到着。 ニア氏の要請で少し離れた場所から自宅へと向かう。 BAUでは直接事件現場へは入らず、必ず徒歩で現場へと近づくのだと言う。 徒歩だからこそ目に入るものがあるからだ。 ニア氏 「この駐車場は誰が使っている?」 ニア氏は聡美さんの自宅前にある駐車場のことが気にかかるようだ。 ニア氏 「午後三時頃の駐車場の状況は?  それと、ここの住民は何時頃帰宅するのか?」 スタッフ 「三時頃は今と同じような状況です。  私達がこの前三時過ぎに来たけれど、この前来た時は車は一台も停まっていませんでした」 ニア氏 「あともう一つ気になることがある。  事件当日、あの軒下には今日のように洗濯物は干してあったのか?  洗濯物があれば、犯人を隠す死角ができ、犯人にとって姿を見られるリスクが減るという」 (事件当日の映像) 洗濯物は干してあり、確かに現場検証している警察官の姿を隠しているのが分かる。 ニア氏 「午後三時頃、この駐車場は誰も居ない状態になる。  犯人はこのことを事前に知っていたのではないか。  今私が居るここからであれば他人に見つかるリスクを負わずに聡美さんを監視することが出来る。  そして彼女の部屋に忍びこむことも」 ■プロファイリング① ニア氏はこれまでの経験から、犯人が事前に聡美さん宅を下見していたのではないかと見立てた。 そして近所の聞き込みで、有力情報が・・・。 ニア氏 「事件前に被害者宅から大きな音楽や人の声を聞きませんでしたか?」 近所の人 「無いですね。  あの十年前の時でしょ?」 ■有力情報とは? 果たしてこの聞きこみがどんな有力情報をもたらしたというのか。 ニア氏 「もし犯人が衝動的に聡美さん宅を襲ったのであれば、必ず事前に言い争いがあったはずだ。  だが言い争いは無かった。  つまりそれは計画的に彼女に近づいた何よりの証拠だ」 だがここで疑問が浮かぶ。 計画的な犯行であったのならば、何故指紋や靴跡など、何故犯人の手がかりになりうる証拠を残したのか。 ニア氏 「つまり犯人は事前に下調べはしていたものの、殺すつもりまでは無かったのかもしれない。  刃物を持っていたのはあくまで脅すつもりでしかなかった。  だがその日、何かがあって、被害者を殺害することになってしまった可能性はある。  つまり犯人は聡美さん宅に侵入するまで、確定した殺意を持っていなかった可能性がある」 このプロファイリングをより正確なものにするため、ニア氏は日本警察の捜査手法を理解したいと言い出した。 そこで番組は急遽、経験豊富な元日本の警察官に協力を要請した。 そして快諾を得た。 スタッフ 「元滋賀県警の坂本さんです」 元・滋賀県警察鑑識課捜査官 坂本啓一。 地元広島のテレビ局の依頼で聡美さんの事件を幾度と無く調査している。 日米の元捜査官による捜査会議が始まった。 聡美さん殺害事件の犯人を追い詰める。 犯人の輪郭が見え始めてきた。 ニア氏 「坂本さんがこれまで聡美さんの事件を調査した中で、どういう情報をお持ちなんですか?」 坂本さん 「今回の事件に関しまして、警察とは別に私の方で色々な聞きこみをしたところ、不審者情報が実際にあったんです。  その件で非常に重要な事は、使っていたバイク・使用車両のことです。  近所にはそういった人もいないし、それにバイクも無いし、だから特に不審だなと思ったと、目撃者は言っていた」 ニア氏 「目的者はその不審な男が何をしているところを目撃したんでしょうか?」 坂本さん 「バイクを隠しているところを見たようです」 ニア氏 「被害者宅との位置関係が知りたい」 早速二人は不審な男が目撃された現場へと向かった。 坂本さん 「ここは以前倉庫だったんです。  それで目撃者は倉庫の角の奥に入ったところで見たと」 不審者が目撃された場所は聡美さんの自宅から百五十メートル離れた地点。 目撃者によればここで見知らぬ男が小さなバイクを隠すようにして停めていたと言う。 ニア氏 「真剣に受け取らざるをえない目撃情報だ。  犯罪者の心理から考えても、その行動は理解できる。  犯行現場から少し離れた場所に逃走用のバイクを隠すというのはよくあることだ。  これを見る限り、やはり犯人はかなり計画的に考えていたようだ」 捜査初日、犯罪学の視点から多くの情報を収集できた。 ■捜査二日目 被害者学 ニア氏 「今日は被害者の家族にあって話を聞きたい。  被害者学の観点からアプローチをして、犯人像を絞り込もうと思う」 被害者学とは、ニア氏が最も得意とする操作手法の一つだ。 被害者学の捜査は何故被害にあったのかということを注目し、被害者の性格や被害者の生活環境から事件を読み解くものである。 ニア氏 「今回私は聡美さんが持つ色々な顔を知りたいんだ。  日本の警察は恐らくこの事件の筋を通り魔か怨恨に絞っているはずだ。  確かに動機が怨恨の場合、その殆どは異性か金銭が絡んでいる。  お父さんに会って聡美さんにそういう側面があったのか確かめておく必要があると思う」 これがBAUが用いる被害者学的アプローチだ。 まずは家族への事情聴取。 応じるのは父だけだ。 目撃者である祖母や妹からは話は聴けない。 今も事件が起きた家で暮らす北口さん一家。 事件を間近で目撃した祖母と妹にとって当時のことを話すのは辛いという。 ニア氏 「北口さん、本当にお悔やみ申し上げます。  必ず事件を解決するとは約束出来ませんが、なんとかお役に立ちたいと思っています。  最初の質問なんですが、お父さんは聡美さんの部屋に誰かが泊まりに来たり、遊びに来たりしたのを知っていましたか」 父 「そんなに頻繁には来ていないですけど、何回かは友達が来ていますし、親しい友だちが一回や二回は多分泊まっていますね」 ニア氏 「聡美さんに彼氏は居ましたか」 父 「私や家内が知るかぎりでは居ませんね。  だから逆にそろそろ高校二年生ですから、そういう男の子を作れよとは言ったんですよね」 娘の異性関係を全否定した父。 だがニア氏は本質を見逃さなかった。 ニア氏 「祖母と話せなかったことは残念だな。  聡美さんのことをよく知ることが出来た。  完璧なプロファイリングに一歩近づいた。  けれど、恐らくご両親は聡美さんのすべての顔を知らないはずなんだ。  だからご両親が知らない顔は友達に聞くしかない。  そして人は隠された秘密の顔という三つ目の顔を持っている。  この三つ目の顔が大事なんだ」 三つ目の顔。 ごく普通の女子高生だった聡美さん。 ニア氏の言う三つ目の顔というのが事件の鍵となる。 誰も知らない秘密の顔が聡美さんにはあったのだろうか。 新たな犯人像に迫るため、BAUプロファイラーが重視したのは、意外にも被害者像の洗いなおし。 ニア氏は言いました。 人には三つの顔があると。 誰もが知っている顔。 家族が知っている顔。 そして誰も知らない顔。 この第三の顔こそが真犯人に迫る上で極めて重要だと言います。 そしてついに聡美さんの家族でさえ知らない顔をニア氏は突き止めたのです。 ■捜査三日目 親友聴取 今回事情聴取に応じてくれたのは聡美さんの高校時代の親友Aさん。 両親すら知らない聡美さんのもう一つの顔にニア氏が迫る。 ニア氏 「お会いできて嬉しいです。  今日はご協力いただきありがとうございます。  そして親友の聡美さんを事件で亡くされたことをお悔やみ申し上げます。  私も高校時代本当に仲の良かった友人は一人か二人でした。  聡美さんはどうでしたか」 Aさん 「本当に高校一年生の時も私と同じクラスで、二年生も同じクラスだったので常に私と二人で居ることが多くて  だから本当に私の知らない聡美というのは塾に通っている聡美だけで、本当に私とずっと居ることが多かったと思います」 ニア氏 「聡美さんに彼氏はいましたか」 Aさん 「いなかったです」 ニア氏 「人は誰でも知っている顔、そして友人や家族にしか見せない顔、そして隠された秘密の顔という、三つの顔を持っています。  この秘密の顔というのが事件解決に繋がるんです。  そこを是非お話していただけないでしょうか」 これまで多くの重要証言を引き出してきたニア氏。 そしてついに・・・。 Aさん 「秘密の顔・・・。  秘密の顔というか、本人が秘密にしていたかどうかは分からないんですけど、私はこれを人にあまり話したくないと思っていて、  今日も出来れば話したくないと思っていたんですけど」 ニア氏 「事件を解決するためにはどうしても聡美さんの秘密の顔を知る必要があります。  皆の前で話したくないのであれば言ってください。  一旦カメラは外に出て行ってもらいましょうか」 ニア氏の指示でスタッフは退出することになる。 この後聡美さんの知られざる秘密の顔が明らかになる。 Aさん 「秘密というか、聡美には当時好きな人が居まして。  付き合ってはいなかったんですけど、それに近いところはあって。  メールを交換して、『下着姿の写真を送ってくれ』とか言われていたので、ちょっと・・・。  聡美が好きと言っていたので私も応援はしていたんですけど、今考えると止めればよかったのかなと思っています。  そこが秘密というか、私が一番気になっているところです。  誰にも言えないことなので、一人でモヤモヤしているというか、そこが一番気になっているところではあります」 ニア氏 「話してくれてありがとう。  勇気のいることだと思います。  ただこういう情報が事件解決に繋がるのです。  (その彼氏と)二人は何処で会っていたの?」 Aさん 「何処だったか、覚えていないですね・・・。  でも何だか聡美の部屋だった気がしますね」 明らかになった聡美さんの第三の顔。 それは十七歳の少女の秘め事。 特別な男の存在が見えた瞬間だった。 当時警察も男の情報を把握し、捜査したが、事件への関与は認められなかった。 しかし聡美さんの両親や親友でさえも知らない更なる秘密の顔があるのかもしれない。 そしてその秘密の顔を知る人物こそ事件解決の鍵を握っているのだ。 その人物とは離れの二階に最初に侵入したことから、そこに聡美さんの部屋があると知っている人物。 更に犯人の足跡が二階にあったにも関わらず、争った跡がないことから、聡美さんの顔見知りの人物だと考えられる。 ニア氏 「一つの可能性として、この犯人が被害者に片思いの念を抱いていた。  犯人は被害者を監視していたのかもしれない。  聡美さんは犯人からの一方的な想いを伝えられたが、当然拒んだのでしょう。  そして悲劇的な結末を迎えたのです。  このデータを元にアメリカに戻り、プロファイリングを行います」 ニア氏がプロファイリングした犯人像。 更にその精度を上げるべく、BAUチームが動く。 日本での調査活動を終えたニア氏はオトゥール氏が率いるBAUチームが待つアメリカに戻った。 ニア氏からの報告を受けるのはBAUの最高プロファイラー達。 彼らが総力を結集し、犯人像を炙り出す。 オトゥール氏 「背中には刺し傷がないので、犯人が被害者を追いかけていたわけではない」 「離れの二階で何か動きがあって、それで二人は階段を降りたのか。  もし彼女を殺そうというなら、どうして二階で殺さなかったのかが気になる」 オトゥール氏 「少なくとも犯人は、被害者が離れの二階に住んでいることを知っていました。  更に帰宅時間を知っていました。  つまりその当日は被害者がいつもの時間ではなく、試験で三時間以上早く帰宅することを知っていた人物。  これはリアルタイム情報です。  前日に家を監視していても分からないこと」 ニア氏 「学校などで被害者と密接な関係にあるのか?  または彼女を監視するしかない。  そのエリアに住まない限り、周囲に気付かれずに監視できる場所はない」 BAUの経験と現場の状況からこの犯人は聡美さんが試験でいつもより早く帰宅していることを知り、 自宅の離れに住んでいることも知っていた人物。 それに何らかの理由で聡美さんへ強烈な殺意を持っている人物という結論に至った。 そして遂にこれまでの犯人像を覆すプロファイリング結果が・・・。 北口聡美さんを殺害した男の根底を覆す新たな犯人像が浮かび上がった。 オトゥール氏 「この犯人は行動的で衝動的ね。  犯行自体無謀なものだし、証拠を残すことを気にしていない。  BAUの経験ではこれは歳が若いということかもしれない。  犯人は被害者と同級生の可能性があるわ」 祖母や妹の証言では犯人の年齢は二十歳くらい。 しかしBAUチームは同年代の可能性があることを指摘した。 二十歳と十七歳。 この三歳の与える印象の違いが事件の解決に影響したという。 そこで十一年前に作成された犯人の似顔絵に経年変化を与えることにした。 犯人の現在の顔をリアルに描いていくという。 事件発生から十一年。 新たな犯人像を公開する。 これが聡美さん殺人事件の犯人だ。 作成:科学学部法科学プログラム教授 似顔絵科学捜査専門 ジョー・マリンズ 聡美さんと同年代。 耳と鼻の形は年齢を重ねても変わらない。 事件解決と憎い犯人逮捕を願う。

関連動画

※廿日市女子高生殺人事件の関連動画です。広島ホームテレビのサイトよりお借りしました。こちらに載せきれていない動画もありますのでぜひ御覧下さい。なおスマホで再生出来ない方は、お手数ですがPCより御覧いただくようお願い致します。 ※読み込みに時間がかかります。

事件担当警察署

広島県廿日市警察署 「廿日市市上平良における女子高生等被害殺人事件捜査本部」 〒738-0015 広島県廿日市市本町1番10号 電話:0829-31-0110(内線601~603)

関連画像

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◆ソース元
Yourpedia-廿日市女子高生殺人事件
SA・TO・MI ~娘への想い~

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