ベッド脇のコンセント

ゾッとする名無しさん@特選怖い話:2015/05/24 23:54 ID:U9XM6D1s
この前出張で東北のある県に行ったんですが、そこで起こった話です。

出張の目的はあるシステムを導入する工場に出向き、要件を確認してくるという内容です。
工場の方と打ち合わせをし、色々な困り事を要件に落としこむところまで進めること出来、非常に充実した内容でした。
ただし思った以上に打ち合わせが長引いたせいで、日帰りで東京に帰る予定だったんですが、急遽一泊することになってしまいました。

ホテルを探し始めた時点でもう夕方だったんですが、スマホでヒットした安いビジネスホテル順に電話で泊まれるか確認していき、10件目を超えた辺りでようやく泊まれることに。
新幹線が止まる駅からは少し離れたところが最寄り駅だったんですが、贅沢も言ってられないので、さっさと移動しました。
ホテルは案の定古臭い感じだったんですが、チェックインして部屋に入ってみると、思ったよりキレイだったんですよね。
いつもの出張だったら、晩御飯は外でお酒を飲みつつその地域で有名なものを食べるんですが、そのホテルは寂れた場所にあり、全く周りに飲食出来るところがありませんでした。
私はしょうがなく、唯一傍にあったキャメルマートというローカルコンビニに行き、弁当とチューハイを購入し、ホテルで食べました。
晩御飯を済ませた後は打ち合わせで得た情報をチューハイを飲みつつ整理して、0時前にさっさと寝てしまいました。

私が寝てから2時間くらいした頃でしょうか。
真っ暗な闇の中、ふと気づくと、部屋で何か物音がするんですよね。

ゴソゴソ・・・ガサッ・・・ゴソゴソ・・・

何事かと思っていると、どうやらベットの傍、足元の辺りで音がするんです。
そこには何があるかというと、スマホの充電器を差しているコンセントがあるくらいです。
でもどうやらその辺りで音がしているんです。

私はネズミあるいは虫が充電器の線を齧っている姿を想像しました。
齧られて断線すると困るので、ゆっくり体を起こし、そこに何が居るのか、そっとコンセントの辺りを見てみました。
すると、予想外のものが居たんです。

そこに居たのは、充電器と同じくらいの大きさの、二人の小人でした。

私は最初見間違いかと思いました。
しかしじっくり見ても、やはりそれは二本の足で立っていましたし、何よりきちんと服を着ていました。
片方はTシャツに半ズボン、ついでにキャップを被った若者のような格好で、もう片方はネクタイを付けたYシャツにスラックス、完全にビジネスマンのそれでした。
その二人が私の充電器をコンセントから抜こうとして、コンセントの線を引っ張っているんです。

それを見た時は流石にビックリしましたが、普通に考えてみると、あり得る光景ではないですから、夢だと判断しました。
何だか奇妙な夢で、深層心理学的に、私がどういう精神状態なのかが少し不安になります。
しかしその時はそれほど深く考えず、目の前で私の充電器をコンセントから引っこ抜こうと頑張っている二人に、私も加勢してみたくなりました。

直接手を出すと気づかれると思いましたので、ゆっくり腕を伸ばし、充電器の線を引っ張っている二人の、更に後ろに伸びている辺りの線をそっとつまみます。
そしてちょっとずつその線を引っ張り、二人にばれないようにして、少しずつ、少しずつ引っ張る力を強めていきました。
コンセントに刺さっている充電器はなかなか固かったのですが、力を込めていき、ある時に一気に抜けました。
二人の小人はその抜けた勢いのまま後ろに転がってしまいました。
それを見ていた私は、思わず「ぷっ」と声を漏らしてしまいました。
その時、二人の小人はバッと私の方を振り向き、目があってしまいました。
そしてその瞬間、彼らの目が光り、私は気を失っていました。

私が目を覚ました時は、セットしていた携帯のアラームが鳴る朝7時でした。
何だか変な夢を見たなーと思いつつ立ち上がり、ベット脇のコンセントを見ると、何と私の充電器がありませんでした。
昨夜パソコンで資料を整理していた時に、確かに携帯を充電するためにそのコンセントに充電器を差していたんですが、ありません。
実際携帯の残量は殆ど満タンに近かったので充電したことは間違いありません。
しかしそのコンセント以外にも鞄や別のコンセントを探してみましたが、結局私の充電器が出てくることはありませんでした。

今のところその日の夢に出てきた小人が充電器を盗っていったと思っていますが、あの二人は何故そのホテルに居たんでしょうかね・・・。

怖い話というより、不思議な話です。
読んでくださりありがとうございました。

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