『心霊写真』

ソウさん  2008/08/18 20:02「怖い話投稿:ホラーテラー」
アイツが憎い…。

ずっとアイツがライバルだった。

アイツはいつも私を出し抜く。悔しいが見た目も性格もよく、世渡り上手とくる。

写真家としてデビューしてアイツは数々の賞を総ナメにし、先輩の俺は立場が無くなっていった。

私はアイツのHPに散々、あることないことまで書き込みをしたが、そんな事で何かが変わることはなかった。


こうして霊になってからも、この恨みは消えぬ。


かといって呪うことはできなかった。そもそも、『呪い』というものが本当にあったら、世の中の凶悪犯罪者はすぐに呪われて死ぬはずだ。


アイツの作品に写ってやろう。

恐ろしい心霊写真しか撮れない写真家は、相手にされなくなるだろう。



公園でアイツがカメラを構えている。


『今だっ!』


…………。

駄目だ、思わず癖でピースをしてしまった・・・




恐怖心を煽る写真にしなければならない。

定番ではあるが、長い黒髪に赤いワンピースにしよう。

次の日のあるスポーツ新聞の一面をヤツの作品が飾った。




『オカマの幽霊参上!!』


私に女装は向いていないことを知った。




元写真家として定番はプライドにかかわる。

あり得ない場所にあり得ないモノが写ってこそ、恐怖心を煽るのだ。


よし、これでいこう!


翌日、またあのスポーツ新聞の一面をアイツの作品が飾る。






『爆笑!!ありえない場所にケツだけの浮遊霊!』




インパクトを重視しすぎてしまった。




全身血だらけの男がたっていたら、さすがに驚くだろう。






真っ赤に夕暮れを染める太陽にかきけされた、私が写っていない美しい作品ができた。






初心にもどろう。
やはり、シンプルに限る。

顔面蒼白の男が立っていたらどうだろう?








モノクロの写真に普通のおっさんが写っていた。




っていうか、死んでる私が写っていることに気付いてくれよ。




頭にきた!

これ以上写真に写ってもアイツの知名度を上げるだけだ。

霊感からかけ離れた鈍感なアイツは、例え私が姿を現しても気付くわけがない。

最後の手段だ!
アイツに電話してやる!


メリーさんのパクりになってしまうが、俺の声を聞けばアイツも気付くだろう。





……………通じない。







電話料金払えよ!!

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