きっと幸せに

ヒーマンさん  2008/08/13 02:48「怖い話投稿:ホラーテラー」
(誤字脱字が有りましたらすみません)




あの日、久しぶりに彼からメールが来た。
二人別々の学校に通い出して数ヶ月、
同じ学校の時も別に話す事もなく、
メールもほとんどなし、顔を見る機会さえ
なかったくらいだ。
そんな彼とも仲が良かった時期があり、
頭が悪く、顔も別に普通、ネガティブで
要領が悪くて、あまり良い所も少なかった彼だが、
馬鹿が着くほど優しかった、
そんな彼に、私は少しずつ引かれていっていた。
彼と私には一つだけ共通点があった。
それは絵が好きなとこ。
二人とも描く分野も違ったが、
それによってずいぶんと仲が縮まっていっていた。
そんなある日、メールの最中に彼に告られた。
またその大切な告白の文章にも打ち間違いがあり、
私は一人大笑いしていた。
その後OKを出し、数日後、一緒に出かけたて、
彼は私の嫌いな怖い話しをしてからかって来たり、
私も逆襲をしたりして彼を沈ませて、慰めると
私の頭を撫で返して来て「ありがとう。」と、また同じような事を繰り返すのだ。
だが…やっぱり彼は要領が悪く、友達皆と遊びに行くときも
他人に自慢できる彼氏でわ無かった。
そんな日々を過ごし、月日がたつにつれ
て会話も無くなってゆき、特別な感情も薄れていっていた…。
そして、別々の学校へと通い出した。数ヶ月たったある日、
久しぶりに彼からメールが来た。
彼にしては珍しくハイテンションだったが、
私はそのテンションを拾ってはあげられなかった。
そんなハイテンションな彼は想像もして無かっただろうと思った…
…それが、別れを告げるメールへ発展していくとわ…。
しかし、予想に反して、彼は私の返信がいつもと違うことに気ずき、
なかなか別れを言い出せ無い私の背中を押したのだ。
いつか自分は捨てられるだろうと考えいたらしい…。
彼は私の事を今でも好きだと言った…「だからお前が他の人を好きになったのなら、それがお前の選んだ幸せなら俺もそれを望む!」と……。
私は意を決して他に好きな人が出来た事を告げた……。「そっか…。」と彼は言った。
私は「ごめん…」としか返せなかった。
そんな私さえ彼は最後まで明るくはげまし「じゃあな!」と返事をくれた…。
その後、
私と彼は一切の連絡を取らなくなった。当然と言えば当然だ……。



……その数ヶ月後の事だった……
彼は学校へ行く途中に事故にあったそうだ…。
原因は赤に変わった信号に突っ込んで来た車側の信号無視
彼は即死だつたそうだ…。



不思議な感じだった、
死んだというのが
いつまでたっても嘘のようだった。
悲しいはずなのに涙が出てこなかった。
それを知った数週間後。
彼の親がやって来て、私はある箱を渡された。
綺麗にリボンまでされている箱を…。
中には立派な羽根ぼうきがあった。
彼とまだ仲が良かった頃に、彼に私の夢を話していた事を思い出す…
「私はね、将来漫画家に成りたい!」
「じゃぁ俺はアシスタントで働かせてもらおうかなぁ。」
「漫画描けるの?」
「なぁに!お前に教わればすぐに描けるって!」
「じゃぁ教えてあげない!」
「おいおぃ……」
「………?」
「……!」
……………………………
私は溢れそうになる涙を
必死に堪えていた。
彼は私の誕生日プレゼントとして
用意していたらしい…
彼が亡くなった三日後の…私の誕生日のために…。
彼の親は「出来ればこれも…」と彼の携帯を渡してくれた。

私は一人、過去を振り返るかのように彼の携帯のメールを見ていた。
彼は私に告白した時の間違いメールや、楽しかった時のメールを全て残していた。
フラれた時のものまで…。
他から見たら過去にしがみついた人と思うだろうくらいに…。
私はため息をつくしかなかった。
その時メールの下書きの欄に一通だけ下書きがあった。
私は引かれるかのようにその欄を開いた。
そこには紛れも無い私当てのメールがあった。
中には「誕生日おめでとう幸せになれよ」と書いた短いメールがあった。
書かれた日付は私の誕生日だった。
私はその時彼に初めて泣かされた。
自分をフッタ女に彼はプレゼントを用意しだけでなく、
祝いのメールを書いてくれていた。
私は泣き叫んだ。
喉が枯れるほど泣き続けた。
その時、私はふと頭を撫でられたような気がし…はっとした、私は振り返るが、部屋には誰もいない。
私は彼が泣いてほしく無いと言ってる気がした…。
私はその後数日泣きながら眠りについた……。
彼のメールは死んだ三日後に書かれていた…。
彼は私が幽霊嫌いなのを知っていた。
だから彼はあえて送りはしなかったんじゃないかなと思う…。
彼は最後の最後まで私を思い…最後の最後まで優しくしてくれた。
私は彼にひどい別れを仕いてしまった……しかし後悔はしたが泣く事はしなかった。
彼もそれを望みはしないだろうから。
私は彼が言ってくれたように幸せになろうと思う。
それまで、彼は私を見守り続けてくれるに違いない。

前の話へ

次の話へ