冷蔵庫

 
21 :ウィル :2014/12/01(月)14:31:25 ID:9BE

この話をするには、まず先に言っておかなきゃいけない事がある。

俺には霊感は殆ど無い。
はっきりとした幽霊を見たことは無いし、金縛りにもあまりあわない。
それと俺の母親は小5の時に出ていって居る。離婚では無く蒸発した。

今の実家は賃貸の一軒家、親父は会社が上手く行かなくて借金して自己破産した。
かと言ってガキだったし、精神学的に言う乖離という症状を起こしていた俺は、
幸か不幸か悲しみも余りなくしかし適度にグレながら生きてた。
そんな俺が中3の頃の夏の話

その日は連れ2人とカラオケにいった帰り、
たまたま先輩たち(連れの兄貴1人ともう一人)に会い先輩の車でブラブラしていた。

やることもなく、金も無い俺たちは心霊スポットに行こうという話になった。
その頃数々の心霊スポットを巡っていた俺達は、せっかく車も有るんだし(何時もは単車と原付だった)
遠くに行きたいと言って、テレビで紹介されたこともある 某ラブホテルに行くことにした。
(千葉県民なら言っとくが◯魚な)

高速にのって一時間半、やっと付近につき目的地を探す。
ド田舎のだから街灯も少なく目印も無いため中々見つからない。
ようやくそれらしい道を見つけ入って行くと、完全に入ってはいけませんオーラの建物が森の前にそびえ立っていた。

でも怖いもの知らずだった俺らは、携帯のライト片手に建物の前に生えまくっている草木をかき分け突入した。
鼻から霊なんて出るはずが無いと思っていた俺ともう1人の連れは調子にのって、
「先に言って脅かしますよー」なんていって2人で先に進んだ。

ホテルに着くと少しビビったが、二階に上がり部屋のベランダから
「入って来ていいっすよー!」
と叫び2人別れて隠れた。

俺は隣の部屋に行き、ベランダからまずは崩れた壁の破片を先輩たちの近くに投げて脅かした。
先輩たちは「おっ!」とか言って上手いことビビっている。

もう1人の連れはさっきの部屋で息を潜めて居るようだ。
見つからないように俺もお風呂の中に入り、アイホンのライトを消して先輩たちが来るのを待った。

すると階段を上がる音、つづいて隠れていたもう1人の連れが「わっ! 」と古典的な脅かしをして居る声と悲鳴が続いた。
次に隣の向かいの部屋に向かったようだ。
俺は若干ビビりながらも出番を待っていた。

すると先輩たちの悲鳴が聞こえて、その後どどどと走っていく音が聞こえた。 
楽しそうだなー と思っていたら、外から先輩たちの逃げる声がした。

ヤバイ 出たのか?
と思いアイホンのライトを付けガンダッシュで階段を降りて外に出た、先輩たちはもう居ない。
おれは車に向かって走った。

良かった車はあった、、、でも先輩たちが居ない。
何処に行ったんだろう?とキョロキョロしていたら先輩たちが笑いながら近くの茂みの影から出てきた。
どうやら俺を引っ掛けたらしい。

それが悔しくて俺は、
「何いってんの?幽霊出たじゃん!俺見たよ!」と言った。
だが勿論、「嘘つけよ、冗談だろ?」と言われた。

だけど俺は嘘を突き通し、結局もう一回入ることになった。
階段を上がり、問題の部屋に入りベッドを蹴っ飛ばしたりしてほらな居ねえよ、と言い俺が先頭で部屋を出た。
すると部屋の前に冷蔵庫があった。

冷蔵庫です。

汚い冷蔵庫です。

入る時1番後ろだったのは俺なので、誰かが冷蔵庫を設置する時間なんて無い。
皆冷蔵庫に気づくと
「は?」
といった表情になり、次に開けろよと言われた。

位置的に1番近かった俺の連れが冷蔵庫をあけた。
暗くてよく見えないがビニール袋が沢山入ってた。

扉を開けた連れが走って逃げ出した、それに釣られておれともう一人のツレも走って外まで逃げた。
建物の前で待っていたが

先輩たち2人はまだ来ない。
2.3分すると先輩たちが降りてきた。
なんか持って居る。

すると笑いながら
「らっきょ入ってた!」と瓶を渡して来た。
確かにらっきょが入った瓶。
冷蔵庫にはらっきょが沢山入ってたらしい。

俺たちは笑っていたが、少し不気味だった為帰ることにした。
帰りの車でらっきょを連れがくって、吐いたり、
貧乏な先輩たちに高速代をたかられてしぶしぶ3人で金を出したりしたが特になんもなく、解散し家に着いた。

その夜親父が飯の後、真剣な顔して話出した。
母ちゃんが見つかったそうだ。(捜索届けを出していた)
母ちゃんは都内のホテルでくびつったらしい。

母ちゃんは家にいた頃から腎臓の病気で寝込んでいた。
それに家を出た時、保険証などを置いて行くガチ失踪だったので、野垂れ死ぬだろうと思ってたと親父は言ってた。
特に悲しみは無かったが、何となく暗い気持ちで部屋に帰りベッドに入った。
そういえば母ちゃんらっきょ好きだったな。

因みにその後◯魚(例の心スポ)には大袈裟でなく10回は行ったが何も起きて居なく、冷蔵庫も無い。
写メを撮った先輩は、写メを俺らに送る前にヤバイ仕事でポカをして地元を飛んだ。

それからこの話は冗談みたいなホントの話しとして酒の席で語られるが、一つだけ皆に黙っていることがある。


あれ以来俺
らっきょ苦手

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