深夜の訪問者

244 : ◆0Jtp6PR8p6 :2006/07/23(日) 01:36:43 ID:QpiYbdkF0

昨年の秋ごろ、休みの日に母がいきなり言いました。 
「あのな、お母ちゃんの部屋にこないだ三日ほど、夜中に誰かおってん」 
私の部屋は母の部屋のふすま隔てた隣です。洒落になってないです。 
そんな怖いこと言わんとって…と言うと、母は可笑しそうに笑います。 
「笑い事ちゃうやん。誰かって誰やのん?」 
「さあ?」 

詳しく聞いてみますと、一晩目は夜中にふと目が覚めたら、 
「●●さーん、●●さーん」と呼ぶ声が聞こえて、 
部屋の中に人の気配がし、息遣いも聞こえたと言います。 
二晩目は、枕元で男の声で「重たい…重たい…」と繰り返す声が聞こえたそうです。 
夜中に起こされて眠いながらも母は「何が重たいんや、言うてみ?」と聞いたが返事はなく、 
もちろん誰もおらんかった、と。 

そして三晩目。 
いきなり布団めくって誰か入って来たと言うのです。 
しかし母は三日続けて安眠を妨げられてムカついてたそうで、 
「誰や!何、用事あるねん!!うろうろすんな!!!」 
思わず叫んで振り返ってみたが、やっぱり誰もいなかったと言うのです。 

「で、それっきりでえへんようになったわ」 
「お母ちゃん、それマジで怖いんやけど」 
「何言うてるねん。幽霊なんかこわない。生きてる人間のがよっぽど怖い」 

その後、どうも母の職場の最近亡くなった人だろうと判明しました。 
「まあ、多分、やけどな。いつも鞄持って『重たい、重たい』言うてたし、 
 一日目の名前呼んだ声も似てた。仲良うしてたから挨拶にきはったんかなあ」 

ついでに今、横でテレビ見てるんで詳細確認したら、 
「あーそんなんあったなあ。忘れてた」 
お母ちゃん、かっこよすぎ。私やったら絶対わすれられへん…。 

前の話へ

次の話へ