無人の寺

610 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/07(木) 11:56:53.92 ID:lfhVWCTd0.net
ここ最近の出来事。 
そこまでおぞましい話でもない。 期待している人には先に言っておくよ。 

俺の人間的能力 
・浪費癖(orz 
・簡易対人外物レーダー装備(良性・悪性の判別は不能。何かがいる方向にのみ鳥肌が立つ) 
・足が悪い。 
・口が悪い。 
・頭脳は子供、体は大人。 
という残念な人間である。 

先月から奥州三十三観音巡礼をやっている。 
欧州三十三観音巡礼とは四国のお遍路のようなものの奥州バージョン。 
ちなみに、俺は最上三十三観音は制覇ずみ。 

最上三十三観音も順番無視で回っていて、 
山形県河北町のとある寺に夜到着し、 
写真を撮ったら、公共の電波に乗せられないような写真が取れてしまった。 
それからは寺巡りの時に日没後はやらないと決めている。 

巡礼といっても、水曜どうでしょうのように、寺の前に行って、写真撮って、 
ちょこっとお参りしてお終いレベル。何か強い願いがあるわけではないが、 
ツーリングの一テーマとしてはついでに温泉行ったり、 
うまいもの食ったりと楽しませてもらってる。 

さて、俺は原付でこの巡礼を行っているんだが、住んでいる地域の関係上、 
1、福島方面 
2、宮城県南部 
3、宮城県大崎地域・栗原地域・岩手県南部 
4、宮城県気仙沼・石巻・松島地域 
(5、岩手県北部青森県境付近→未完) 
と地域を分けてやらせてもらっている。 
いかんせん原付では岩手北部まで9時間はかかるだろう。来週までは無理だな。 

で、今回投稿させてもらうのは、 
3番地域にある某寺での出来事。 
震災の復興作業が進んでいるが、津波で流された家の跡地には、 
まだまだ花がたむけられている。 
リョウメンスクナという話がある地域にも 
近い場所なのではないだろうか。 

三陸海岸のリアス式のクネクネウネウネの道路に辟易しながら、 
薄暮の空を眺めつつ、とある寺に到着。そこは無人寺である。 
たまに縁日では使われるらしいが、草が生い茂り、 
お地蔵さまには古いお供え物の腐乱物に蝿や蛆がたかっている。 
それぐらい、手が行きとどいていない寺だった。 

いよいよ本堂に近づいたとき、にわかに鳥肌が立つ。両腕。真正面か真後ろに「何か」がいるらしい。 
しかし、寺である以上、何もいないわけはないし、 
寺の由来(奥州三十三霊場は坂上田村麻呂=蝦夷討伐の過程で建てた寺が多いらしい) 
としても、多かれ少なかれ、何かはあると思って、特段気にしなかった。 

…うそである。 
一瞬で汗がひくくらい寒気を感じた。 
だが、せっかく来たのだからお参りくらいはしておこうと思い、本堂に歩を進めた。 
本堂は扉に鎖と南京錠で鍵がされている。障子紙やガラス張りということもなく、中を見ようと思えば見れる。 
しかし、真っ暗。見ようと思っても見れるものもない。 
「観音様」くらい見たかったが、錠もかけられている以上やむなしと思って賽銭箱に銭を投げ込んで、 
ごあいさつ。その時… 

「たぁ~~~~~~~~」 

という声がした。女の子か小さな男の子のような声。お堂の中から。 
すでに鳥肌が立った段階で何かがいるのはわかっていた。 
しかし、実際に音として表れたのはビビった。心臓が止まるかと思った。ヌコたんかと思ったが、 
特にそれ以降音がしない。 

ビビった俺は、大慌てで次の寺へと移動。 
あらゆる危険を想定して、原付を運転していた。 
…スピードの出が悪い、上り坂ではエンスト(スクーターなのに!!)、 
なぜかハンドルがとられるという現象が頻発。ただ、古いものなので、 
「ガタが来たのか」くらいにしか思ってなかった。 

そんなこんなで、次の寺に到着。こぎれいで立派な寺だった。 
常時人がいるような寺だったようで、そこで住職とお会いした。すれ違いざまに、こちらがあいさつすると、 
「あなた○○寺行ってきたでしょ!!!!」とすごい剣幕で聞いてくる。 
私が「そうです」と答えると、住職は「何かなかったか」と聞いてくる。 
子供のような声が聞こえたことを言うと、私に本堂に上がるように言ってきた。 

こういうときは大人しく言うことを聞いた方がいいと思い、それに従った。 

そこから3時間くらい正座させられ、お経を聞き、原付には「一応」といわれ、札を貼られた。 
何か悪い商売に引っかかったのかと思ったが、 
住職は「金は要らない。何か悪いことがあったら、次は××寺に行け」と言われた。 
詳しいことは聞かなかったが、 
1、大昔に亡くなった人を連れてきている 
2、別に悪いものではないが、友達がほしいらしい。 
3、俺に友達ができると、やきもちを焼いて悪戯はするらしい。 
4、今回は俺はまだあの世にいかないので、あっちで待ってろといって成仏させた。 
だそうだ。 

で、俺は安心して家に帰ったんだ。 
怖かったな~と思って、今日回った寺の写真をフェイスブックに掲載しようとおもって、 
写真を見ていたらあの寺の本堂の中に、 
肉眼では真っ暗で見えなかったのに、 
中に、一人だと思ったら二人。 
一人は確かに子供だった。もう一人はその親と思われ。 
俺についていこうとする子供を必死に抑え込もうとして、俺の方を睨んでいた。 
マッマは付いてきていないと思うし、住職も何も言ってなかったから大丈夫だと思いたい。 
でも、子供だけ成仏してしまったのなら、それを母親は許せるんだろうか。 
俺、逆恨みされるんじゃねーか?と夜窓の方でカサカサ音がすることにおびえている今日この頃。 

前の話へ

次の話へ