奇妙な時計

557 ◆UezEolII3M New! 2012/12/06(木) 18:37:14.72 ID:qygY14o/0
前に>>388で黒い運転手の話を書かせていただいたものです。 
最近友人の家に行ったときに、奇妙な体験談を聞いたのでそちらを。 
実話か創作かは分かりませんが… 

友人は昔、真鍮製の変わった懐中時計を道端で拾ったことがあるらしい。 
それは短針くらいの針が2つ、長針くらいの針が3つ、秒針みたいな細長い針が1つあり、 
その6つの針は秒でも分でも時でもなく、中途半端に、それも全てが違う速度で回っていた。 
また、文字盤には3等分するように線が入っているだけで、数字も点も書かれていない。 
もちろん、どこにも会社名や製造日は記されていなかった。 
友人が何人かのクラスメイトと話し合ったり、家族に聞いてみたりしたが、 
勿論そんな時計を作っている場所なんて知らないし、その針が何を表しているかも分からなかった。 

ある日奇妙なことに気がついた。時計は針を調整するつまみもゼンマイも無く、殆ど完全な円形だった。 
どこにも分解できそうな場所は無く、接着した痕らしきものも見当たらなかった。 
それに気付くと同時に、時計の構造に興味が出た友人は、安い糸鋸を購入。 
少しずつ時計を削って、数日かけてようやく中身を見る事ができた。 

するとそこには電池も歯車も無く、赤黒い血のようなものがべっとりと内側にこびりついていた。 
そしてもう一度時計を見ると、針は動かなくなっていた。 
気味悪くなった友人はそれを近くにあった半田ごてで思いっきり叩いて破壊し、 
ティッシュで包んで捨ててしまったようです。 
オチは特に無しです。今のところ。 


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