乗車

902 本当にあった怖い名無し sage 2012/09/04(火) 00:06:08.53 ID:iEx2sKX30


結婚前に今の夫(以後=彼)とぶらぶら山梨方面へ遊びに行った。 
遊園地も行ったし富士山も行ったしでくたくたになったけど、 
翌日朝からまた仕事があるから、一旦公園で仮眠してから帰ろうということになって 
丁度近くにあった城址公園という所に車を入れて、駐車場っぽいところで休もうとした。 

もう日も暮れて薄暗いからよく見えなかったんだけど、男の人が一人車の近くに居た。 
別に公園だし人もいるだろう、覗きでなきゃいいやと思って放っておいた。 
でもなんか違和感はあった。 

眠ろうとして目もつぶっているのにその男が視える感じで落ち着かないから、 
彼に「なんかこの公園落ち着かないし嫌な感じがする」というと彼も怖がりなんで二つ返事でその場から立ち退いた。 

「ホテル泊まりたいけど会社間に合わないもんなー」 
(もう夜中だったので。特に意味は無い)てことで、高速の入口を探して乗ろうとした。 
もう周りには走ってる車とかなかったから、車のリアガラスの状況なんてよく判らなかったけど、 
いつもとなんか変な、違う気がする。 
信号で停まった時に振り返ってよく目を凝らしてみた。 
見たのがまずかった。 

リアガラスに数人分の腕や手のひら、左後ろ側に頭部があった。 
突然の出来事だったので理解できずに、青になった信号で発進した。 
何だったんだろうともう一度、今度はルームミラーを見やすいように当て直して視てみたら、 
腕や手は蠢いて、頭は体が見え始め、何だか車に乗り込もうとしているようだった。 

ここでやっと「ギャーッ!」っと叫んで車内が大騒ぎになった。 
私が運転していたんだけど(途中で交代してもらおうと思ってたので)もうどうしていいか判らずに 
必死に高速の入り口まで行って慌てて券を引きちぎるようにもぎ取って、ぶっ飛ばして本線に合流した。 

だが運の悪いことににわか雨(ちょうどこの季節、8月です)が降ってきて視界殆どゼロ状態。 
でもワイパーガンガン最高速度にして制限速度も無視して飛ぶように逃げた。 

「ふ~っ、これでもう来ないだろう、大丈夫だよねー」と安心してルームミラー視たら 
何だよ、もう!あいつ頑張ってまだ乗り込んで来ようとしてるじゃないかよ!勘弁しろよ!になった。 
手は風でか雨でかで飛ばされたのか無かった。しかしどんどん、ゆっくりとだがあいつが迫ってくる! 
彼に運転変わってもらおうにもSAもPAもまだ随分先の話。私一人で振りきれってのかー! 

近づいてきたのでよく視えるようになってきたら、サラリーマンがスーツ着てるように見えた。 
赤いネクタイに黒禍根のスーツ。でも顔は真っ黒。でもニヤついた口が不気味に綺麗見えた。 
とうとう後部座席の背もたれまで来て、私大泣き、彼は放心。 
もうこいつにやられて大雨でスリップして死んでしまうのかと諦め始めた。 

するとうまい具合にSAが!しかもレストランが24時間対応してるみたいで人もいる!やった! 
急ハンドルで駐車場に入って車を突っ込んで止め(もうスペース内とか気にしてらんなかった)、店内へダッシュした。 

店の人や他のドライバーは何事かと好奇の目で見ていたがもうお構いなし。 
自分たちの車が見える所に席をとって車の中に居たやつを観察。 
そいつは霊のくせして速い動きが取れないのか、まだ背もたれのところから進んでいなかった。 
ちょっとプッとしてしまったが、これからまた私達に近づくのか、 
車に何かするのではないかとビクビクしながら見続けた。 

あんなドタバタあったせいか、時刻は3時30分を回ったところだった。 
何だか今度は車を物色しているのか、車の外にでてジロジロ見回していた。 
車に興味のある霊だったらしい。(この期に及んで生身の人じゃないよね?) 
4時を回ろうかって頃、雨も止み、空がかなり白んできた。 
するとあのスーツを着た兄さん?はニヤッと笑い、狸に変身した。 
マジで。嘘じゃないんだよ、本当なんだよ。 
腹のでっかい狸で、変身したあと白い霧みたいのが漂ってきてスゥ~って上の方に消えた。 

まさか狸に化かされたってこれのことか?って2人で考えた。あの男は何だったんだ?とあの手や腕は? 
なんか貴重な睡眠時間削らされた上に怖い思いして事故の危険性もあったのに、最後がこれってどういうことだよ!って思った・・・。 

あああっちからしたら事故で人が2人死んで仲間にできたら儲けモンとか思ってたんだろうけど、 
折角の休みを超無駄にされたこの恨みは20年たった今でも忘れない。 
次にあったらとっちめてやる。 

終わり。 
駄文長文すいませんでした。
 

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