いつも

797:本当にあった怖い名無し:2006/11/29(水) 12:34:20 ID:Ng/YrEMN0 

高校生の時、俺は腸が弱かった。ゆえに、学校に行く時は少し早く出て、 
途中の汚い公衆便所で用を足す事が多かった。 
その公衆便所は駅を降りて、通学路からは少し外れた、 
森(と呼べるのか分からないが)の中にある。 
そして、必ず一番手前のドアが閉まっていた。 

無論その中にはいつも、ちゃんとした「人間」がいるのは知っていた。 
くしゃみや咳、新聞を広げる音などがしていたからだ。 
しかし、それを気にしている暇もなく、学校に遅れないように、 
大量の○ンコをすることで精一杯だった。 

いつも同じ場所で、俺が行った時にいつも用を足している人間がいる事を、 
まだその時は不自然には思わなかった。 
ま、そういう奴もいるだろう、と思っていた。 

俺が朝、家を出て、電車の中で腹が痛くなり、 
その公衆便所で用を足し、学校へ行く。 
そんなサイクルも一年以上続いた高校二年のある日、 
やはり俺は朝、腹が痛くなり、例の便所へ駆け込んだ。 
そしていつものように閉まっている手前の個室を通り過ぎ、 
用を足し終わった。その時、その個室から声がした。 

「いいですね・・・いつもお腹の調子良さそうで」 

学生、とは言えないが、若そうな声。 
一年以上俺と同じタイミングで用を足していた、そいつの声を初めて聞いた。 
だが「いつも」とはどういう事か? 
とりあえず、「え、あ、まあ・・・」とぐらいしか返事を返せなかった。 
そして次に奴が言った、不気味な言葉。 


「私なんかね、もうね、ずっとお腹の調子悪いんですよ。ほんとに。 
出てないんですよ、ずっと。私ねこの場所から全然出てないんですよ。 
ほんとに。お腹の調子、悪いからね、出れないんですよ。」 


手を洗いたかったが、これ以上ない寒気に負け、学校で洗うと決め、 
早足でその場を出た。心臓がバクバクと鳴っていた。 
後ろを振り向く事は絶対に出来なかった。 

「いつも」という言葉。個室から出ていないのに、 
なぜ俺が「いつも」用を足している事を知っているのか。 

そして、「この場所からずっと出ていない」という言葉。 
一年以上、奴はずっとあの場所に居たのか・・・? 

考えれば考えるほど、訳が分からなくなった。 
その日からはいくら腹が痛くても我慢して学校まで耐えるか、 
遅刻覚悟で家で用を足して行くかにした。 
奴が人間だったのか、分からないが、 
これほどに不気味なことは無かった。
 

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