住宅地

538 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :02/10/22 01:54

小学生のときの思い出です。 
学校から自転車の乗車許可がでたばかりの頃、すっかりうれしくなった私は友達と 
あてもなく自転車を走らせていました。 
いつだったか、私たちは見知らぬ住宅地に入っていました。小さな住宅地で、一軒 
の家の前にジュースの自販機が設置してありました。 
私の家は、小さな商店街で自営業を営んでいたので、当時の私にはこのような住宅 
地は憧れでした。 
しばらくして、もう一度そこを訪れたくなった私は自転車をこぎ出しましたが、ど 
うしてもその住宅地にはたどりつけませんでした。あくる日、学校が終って今一度 
そこを見つけようとしましたが、やはり見つからず、友達にそこの場所を聞いたと 
ころ、友達は「そんな場所には行かなかったし、知らない」と答えました。 
不思議に思いながらも、諦めかけていたとき、地元の高校の文化祭に遊びに行く途 
中、そこは突然目の前に現れました。そのときは「ああ、此処だったんだ」と妙に 
納得した記憶があります。 
私は嬉しくなり、かなりの時間、その住宅地を走り回りました。 
しかし、後日そこを訪れようとしたとき、その場所はやはり見つかりませんでした。 
もちろん、何回もそこに行こうと試みましたが、とうとう行けず終いに終わりまし 
た。 
思えば、住宅地なのに人っ子一人見なかった気がします。

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