最後の客

982 本当にあった怖い名無し sage 2012/09/08(土) 00:10:51.02 ID:Hh98s81P0

中3の秋頃、高校受験のために塾に通ってて、帰りはいつも 
父か母が車で迎えに来てくれていた。 
でもその日は父も母も地区の用事があって、一人でバスで帰ることに。 
遅い時間だからか、仕事帰りらしいおじさんが乗ってるだけだった。 
いつの間にかうとうとしていたのか、はっと気付くと、前の方に座っていた 
おじさんはもういなくなっていた。ああ自分だけか、と何となく振り返ったら 
斜め後ろの席にガリガリに痩せた男が座っていた。 

その人は子供のようにも見えるし、結構年がいってそうにも見えた。 
無表情で席に座った姿勢のまま、ぴょんぴょん飛び跳ねている。 
まるきりはしゃぐ子供みたいな仕草なんだけど、全く微笑ましい光景じゃなくて 
うわー池沼かよ、と無視を決め込んだ。気弱な見た目のせいか絡まれやすかったから。 
何かあったらすぐに運転手さんに助けを求めようと前を見ると、 
ちょうど運転手さんもルームミラーで後ろを確認しているようで一安心。 

降りるバス停がきて席を立つ時も、その人はまだぴょんぴょんしてた。 
目で追われてる気がして足早に前に向かって、料金を払っていると、 
運転手に「塾?こんな時間まで大変だね。今日は君が最後のお客さんだなぁ」 
と話しかけられた。「いつもはサラリーマンの人が乗っておしまいなんだけど」 
え、でもあの池沼は…と思い、軽く振り返ると確かに横目に奴が映る。 
その場にいたくなくて、挨拶もそこそこにバスから降りて、家までダッシュで帰った。 
振り返ったら窓にあいつがべったりくっついてそうだったし、 
更には追いかけてきてるような気がして、とにかく怖くてチビりそうだったんだけど 
書いてみたら全然怖くなかった。 


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