ついてくる犬

443 本当にあった怖い名無し sage 2013/03/15(金) 08:08:34.51 ID:XXLPWkj30

もう20年以上前になりますか。 
俺が高校生の頃の話ですが。 

自転車で1時間ほど離れた里山に写真撮影に出かけたんです。当時一眼レフを買ってもらったばかりでした。 
おにぎりを二つ、おかずにソーセージを持って。 

山に至る道の両側には畑が広がってまして、作業してるじいちゃんばあちゃんがちらほら。 

「あれ?」 
前方に犬がいるんです。鎖を引きずったままトテトテ歩いてる。 
口笛を吹くと止まってこっちを見てる。 

日本犬の雑種かな。数年前に死んだうちの犬に雰囲気が似てる。 
「おまえ、鎖引きずったままは危ないだろ。」 
おにぎり半分食べさせながら鎖を取ってやりました。 

そしたら付いて来る。 
「もう何もやらん!(笑)」 
ヘッヘッ言いながら走って付いて来る。 

山の麓のキャンプ場に到着。犬と一緒に。 
「一緒に登るか?ん?」 
山といっても大した高さじゃないんです。往復2時間かかるかかからないか。 
植物の写真を撮りながら登り始めました。 
…夏でしたね。蝉が大合唱してました。 

数組のハイキング客とすれ違いながら登って行きます。 
「お、犬と一緒かー」 
おじさんに珍しそうに声をかけられました。 
7割ほど登った所でしたか。 
何度か登った事のある山だったんですが。 

445 本当にあった怖い名無し sage 2013/03/15(金) 08:13:45.76 ID:XXLPWkj30
「…こんなとこに脇道あったっけ??」 

下草の生えた砂利道が左のほうに延びてる。 
カーブしながら奥の方は…見えない。 
ちょっと覗いて見よう。 
歩いて行くと柱が2本。間には錆びた鎖が渡されて、奥に数棟のバンガロー?が見えた。 


ワンワンッ!ウウウッ!!ワンッ!! 


びっくりして後ろを見ると、付いて来てた犬が凄い形相で吠えてたんです。 
俺にじゃなく、道の奥に向かって。 
背中が冷たくなって、はっと前を見ました。 

蝉の声が聞こえなくなってました。 
冷たい風が奥のほうから吹いてきました。 

あ、ここは入っちゃいけない場所なんだな。 

急いで引き返して、もとの山道へ。 
蝉の大合唱を聞いてホッとし、ふとあたりを見るとさっきまでいたはずの犬は 
どこかに消えてました… 
山を降りながら探したんですけどね。どこに行ったのか、見つかりませんでしたよ。 


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