スケボー

132 名前:Cardinal :02/09/25 05:45
全然オカルトじゃないんですが。

7月中頃。午前3時過ぎ頃に最寄のコンビニへ行った時の話です。
コンビニまでは歩いて10分程度なのですが、
途中、夜のその時間には全く往来の絶えた道路があります。
まあ、午前3時では往来も絶えて当然なのですが、
それでも昼間は混雑し、幅も長さもあり、また舗装も街灯も新しい道路なので、
人も車も通らぬ夜中は、妙に空虚なスペースとの印象を受けるのです。
その為でしょうか。この道路では時折、夜中にスケボーの練習をしている連中が居ます。
二人連れくらいが自動車でやってきて、歩道に駐車して、練習しているのです。
彼等は、黙々とセンターラインに沿ってボードを滑らせ、
途中で三次元的に複雑な動作の練習をしています。
正直なところ、私はちょっとばかり不気味に思っています。

その晩、件の道路には誰も居ませんでした。
どちらかと言うと、誰も居ない晩の方が多いようなので、これは特に気になりません。
私はコンビニで夜食と飲み物を買い、元来た道を戻りました。

道半ば。例の道路を通り過ぎようかと言う時、
不意に、数メートル後でコーともガーともつかぬ音がしました。
スケボーが路面を滑る音です。音はそのまま続き、私の後についてきます。
数メートル歩き、街灯を背負う位置にまで来ると、
前方へと伸びる影が、背後の人物の姿を描き出しました。
振り返りもせず、その代わり視覚的に想像したわけですが、
後ろでスケボーを転がしてる人物は、
どうも明らかに道路の脇に(ひそんで)いて、
私が通り過ぎてからすぐ後についてきたようです。 

“ゲッ”私は滑稽なほど危機感を抱き、
或いは強盗なのではあるまいかと思って、色々とワケノワカラン事を考えました
(手に下げているコンビニ袋は、いざって時に武器になるか、とか)。
背後の男(多分)は、時折片足で路面を蹴って、安定した速度で私にピッタリとついてきます。
私は、それが何かの役に立つのかも碌に考えず、歩く速度を落としたりもしましたが、
男はやはり速度を合わせて、ピッタリと2mばかり後ろをついてきます。
退屈にして幸いなことに、この送り狼ヤロウは仕舞まで何もせず、ただ着いてくるだけでした。
まあ、カラカワレタのだと思います。
が、時間にしてたった数分のこの出来事には、中々肝の冷える思いでありました。 

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