止まらないタクシー

613 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/08/22 23:45
もう、ずいぶん前になるが、青山で呑んでさて帰ろうと外へ出た。
ところが週末のせいか、女一人なせいか、
いっこうにタクシーが止まらない。つーか、ない。
仕方ないので、歩道をどんどん歩く。
と、一台のタクシーが止まっていた。どうやら仮眠中らしい。
疲れているのに悪いなーと思いながらも、私の手は窓に伸び、
コンコンと叩いた。

運転手は起きた。私を見た。だが、なぜかまた眼を閉じた。
「このやろー、ばっくれる気か」とコンコン、コンコン、コンコン・・
根負けしたのか、やっと起きてくれてドアを開いてくれた。
私が乗り込むと、開口いちばん。

「あのぉ。お客さんは、目的地に着くと消えるヒトじゃないですよね・・?」

かなり笑かせてもらったが、考えてみれば無理もない。
その時の私の出で立ちは、白っぽいドレスに腰まであるロングヘア、
今より10キロはやせていたので、完璧に「あちらの住民」にしか
見えなかったし、しかもそこは青山墓地の周辺だったのだ。

いやー、コワイから墓地の方へは行かないように歩いていたんだけどねー

呼ばれちゃったんだねー、って誰に? 

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