牧場

329 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/07/28 22:21
僕が体験した、怖いというよりも不思議な話を書きます。

僕が昔住んでいた場所の近くに牧場がありました。
中学生になったとき、僕はそこで乗馬を習い始めました。
習うと言ってもきちんとしたレッスンなどではなく、
馬の面倒をみる代わりに、牧場のオーナーやそのお嬢さんが
手が空いたときに教えてくれるという程度のものです。
始めは僕も馬も互いに懐けなくて世話をするのも困難でした。
でも、お嬢さんから馬を呼ぶときのコツやら扱い方を習って、
徐々に僕と馬は仲良くなっていったのです。
しばらく経つと、僕はオーナーやお嬢さんがついて来てくれなくても
一人で遠乗りに行ける位にまでなりました。 

ある日の夕方のことです。
遠乗りから戻ってきて馬に乗ったまま牧場へ入ろうとしたとき、
僕は奇妙なものに出会いました。
その牧場の入り口には、1本の大きな木が植わっています。
それのおかげで車の出入りが不便なのにも関わらず、
オーナーは切り倒すことも移植することもせずにいました。
何気なくその木の右下をくぐり抜けた時です。
何の前触れもなく、僕と馬の目の前にそいつは姿を現しました。
形も大きさも、一見人間の子供のようなんですが、全身が真っ黒。
頭がやたらと大きく、切れ長の目には瞳がありませんでした(つまり白目だけ)。
しかもそいつの足は地面についてません。
僕も、それに馬もあっけに取られて立ち止まって見ていると、
そいつは後ろ向きにすーっと滑るように移動して消えてしまいました。

僕はすっかり取り乱して牧場へ駆け込みました。
オーナーはそんな僕を見て何事かと聞いてきたのですが、
僕は今さっき見たものがあまりに奇妙で突拍子もないので
結局彼には何も話すことが出来ませんでした。

それから何日か経ち、僕は少し怖くもありましたが
アレが一体何者なのかという疑問が強くなってきていました。
何の根拠もありませんでしたが、あの日と同じように同じ場所に行けば
またアレを見ることが出来るんじゃないかと考えた僕は
また同じ馬に乗って出かけたのでした。
始めは好奇心でいっぱいだった僕の頭も、
夕暮れが近づくにつれだんだん恐怖の方が勝ってきました。
しかし今更後悔したところで、もう馬を牧場へ戻さなくてはならない時間です。
意を決して、またあの木の横を通り抜けました。

いました。

この前見たのとまったく同じヤツでした。
そしてまた、あの時のように後ろ向きに滑るように離れていきます。
僕も馬もギョッとしましたが、何を思ったか
僕は馬をせかしてそいつの後を追いかけ始めました。
この時の自分は本当にどうかしていたと思います。
僕は家から持ってきたボウガンで、馬上からそいつに狙いをつけて矢を放ちました。
まさか当たるとは思ってませんでした。
そいつは矢が当たると立ち止まり、ビクリと身体を硬直させて、
そのまま地面に落ちました。
僕は慌てて馬から降り、そいつが落ちた場所へ駆け寄りました。
そこで僕は、更に奇妙なものを見たのです。
そいつは今は姿を変え、人魂のような、ぼんやりとした光を放つ炎の塊になっていました。
僕は荷物の中から大きな、広口の空き瓶を取り出して、虫取り網の要領でその炎を捕まえました。

そいつの正体は未だによくわかりません。
でも瓶に詰めたそいつは、お店に持っていくと
50ルピーで買い取ってもらえるという事がわかったんです。
牧場の周りには、こういうスポットがまだあと9箇所あるらしいです。
僕はそいつらを全部捕まえて、ハイラル一のゴースト・ハンターになるつもりです。
長文失礼致しました。 

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