初恋
113 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/07/08 19:29
小学校の3年生の頃…当時、九つの私は学校で“いじめ”にあっていました。
幼なじみの友達はいたのですが、一人で過ごす方が楽に感じてきていました。
そんな、ある夏の日…。
公園のお気に入りの場所…大木の下…で、一人おやつを食べていたら、
学生服姿の男の人がやってきました。
学ランに学帽、黒の革靴に白手袋をはめていて、手には紙の箱を持っていました。
高校生のお兄さん…と思ってぼんやり見つめていたら、
その人は…
「隣、座っても良いかい?(←凄く低い声…)」
と一言。
私は、どーぞー…っと言ってちょっとずれました。
お兄さんは、紙箱から何かを取り出し食べはじめました。
それは『紅白まんじゅう』でした。
…その後、そのお兄さんとはいろいろな話をしました。
お兄さんはうなずいたり、笑ったりして私の話を聞いていました。
すっかり日も暮れた頃、
「もう、帰るね」
と言って、私が「明日もここに来る?」
と訊ねると、お兄さんは、
「…分からないね…」
とこたえました。
「お友達になろうよ、」と私が握手するつもりで、お兄さんの手袋に包まれた
手を握ろうとしたら……
『!!だめだよっっ!!』
…っと、凄くきつい一喝…。
当時の私は腹が立って、その場を立ち去りました…。
次の日に同じ場所に行きましたが、お兄さんはついぞ現れませんでした。
…で、現在、ある日、ふとこの事を思い出して霊感の強い先輩にその事を話したら…
『あんた……その人は優しい人だったんだね…
もし、あんたがその手をつかんでいたら、… 』
連れて行かれる所だったよ
……そのお兄さんは、連れて行きそうな事を分かっていたから、だめだよって、
言ったんだよ…。
…とおっしゃいました。
どうやら、そのお兄さんは…その…ずいぶん昔に……。
カッコ良くて、優しい学生さんでしたが、
これが『初恋』だとは…………。