挨拶

923 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/06/25 22:14
たいして怖い話ではないが、俺も生涯で一度だけ金縛りに遭ったことがある。
十年ぐらい前の夏だったと思う。
深夜ふと目が覚めたんだ。あたりは、変にしんとしていた。
特にどうということもなく、ああ、目が覚めたんだな。寝直そうと思ったんだが
そのとき何かが階段を上って来る音がした。
こんな深夜にだれだろう?猫か?そう思い上体を起こそうとしたが体が動かない。
馬鹿な金縛りか?金縛りという奴か?
そんな状況での足音が聞こえることほど怖いことはない。
足音は階段を上りきり、部屋の前でピタリと止まった。
俺は脂汗を流して次に来るものを予想して、気が狂いそうなほど恐怖した。
案の定、布団の上にズシリとした重量感が出現して、姿は見えないが、
何者かの吐く息が顔にあたった。
その後は意識を失ったらしく、次に目覚めたときは朝を迎えていた。

朝食のとき、珍しい体験なので、家人に話したら意外な返事が返ってきた。
「昨日、家の墓を移したから、挨拶にきたんじゃ?」
勿論、俺はそのことを知らなかったのは言うまでもない。

たいして怖くないか。なんか、よくある話だもんな。
でも実話だよ。 

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